近年ではSUVが非常に人気となっていますよね。
現在は、各社様々なSUVを発売していますが、トヨタだけを見てもいろんなSUVがあります。
実際にSUVが欲しいと思っている人の中には、一体どのSUVを買ったらいいか迷ってしまうという人も多いのではないでしょうか。
そこで、今日は、トヨタのSUVはそれぞれ何が違うのかを徹底分析してみたいと思います。
是非、SUVの購入を検討している方は参考にしてみて下さい。
トヨタのSUVラインナップ
こちらには、トヨタが現在日本で販売しているSUVを全て示しました。
その台数は全部で9台。
現在トヨタが販売している普通自動車の車種は全部で40車種なので、トヨタのカーラインナップのうち、実に4台に1台がSUVとなっています。
そんなSUVの中から、今日は、大型の本格的SUVのランドクルーザーとランドクルーザープラド、ピックアップトラックのハイラックスを除いた、以下の5車種を様々な角度から比較して、それぞれの特徴を分析してみたいと思います。
ライズ
ライズは、トヨタのSUVの中で最も小型の車です。
ダイハツにより開発され、生産もダイハツにより行われている、いわゆるOEM車です。
ダイハツではフロントマスクとバッチを変えてロッキーという名前で同じ車が販売されています。
ヤリスクロス
ヤリスクロスは、コンパクトハッチバックのヤリスをベースに開発されたコンパクトSUVです。
2020年2月に発売され、今回比較する5台の車の中で最も発売が新しい車です。
C-HR
C-HRは、トヨタの世界戦略SUVという位置付けで開発された車です。
そのクーペのようなテイストを取り入れたスタイリングが人気を呼び、2017年には日本でSUV車名別販売台数1位となりました。
RAV4
RAV4は、初代はコンパクトSUVだったのですが、メイン市場となる北米市場のニーズからどんどんサイズが拡大していき、今回比較する車の中では、ハリアーと並んで最もサイズの大きな車となっています。
日本では一時期販売されていない時期もありましたが、世界200カ国で販売され、世界中で人気の車となりました。
2017年には世界全体の自動車販売台数ランキングで4位に入っています。
日本においては現行の5代目から復活し、2019年には日本カーオブザイヤーを受賞しています。
ハリアー
ハリアーは、RAV4と同じプラットフォームから作られた高級SUVです。
高級SUVというジャンルを開拓した先駆者的存在。
鷹の一種であるチョウヒのマークが特徴で、日本ではハリアーブランドを築いています。
ボディサイズ
それでは、さっそくこれらの5台の車を具体的に比較してみましょう。
まず最初は、サイズです。
全長×全幅
こちらには、横軸に全長をとり、縦軸に全幅をとったグラフを示しました。
単位は、ミリメーターで示しています。
これ見ると、全長は、ライズ、ヤリスクロス、C-HR、RAV4、ハリアーという順番で大きくなっていることが分かると思います。
その差は、ライズからRAV4までは、ちょうど200mmほどの差となっています。
こう見ると、これら4台の車はサイズでしっかりと差別化ができているんですね。
また、同じプラットフォームで作られているRAV4とハリアーはハリアーの方が140mm長くなっています。
ここは、サイズの差別化というよりは、デザイン性の違いからくる差だと思います。
一方で、全幅は、ライズからRAV4までは全長と同じように、ライズ、ヤリスクロス、C-HR、RAV4の順番で幅が広がっていることが分かります。
ただ、RAV4とハリアーは同じプラットフォームということだけあって、全幅は1855mmで全く同じ数字となっています。
全長×全高
続いて、こちらには、横軸には先ほどと同じように全長をとり、縦軸には今回は全高をとったグラフを示しました。
これを見ると、先ほどの全幅とは逆に、ライズ、ヤリスクロス、C-HRの順番で全高が低くなっていることが分かると思います。
一方で、RAV4は本格的SUVを謳っているだけに、全高は高くなっています。
C-HRとの差は実に100mmもあるんですね。
100mmというと10センチ。
10センチは、ちょうどハガキの幅と同じサイズなので、全高がこれだけ違うとかなり印象が違いそうです。
C-HRとRAV4は同じSUVといえども、その車両コンセプトはだいぶ異なるということが、このサイズの比較からもよく分かります。
また、ハリアーはRAV4よりも25mm低くなっています。
こちらは、全長の差と同じように、デザインからくる差だと思います。
最低地上高
続いて、SUVにとって大切な地上高を比較してみましょう。
こちらには、それぞれの車の最低地上高と全高を並べてみました。
青い棒グラフで最低地上高を示し、軸は左側に示しています。
一方、全高は、緑の折れ線グラフで示し、軸は右側に示しています。
これを見ると、全高の関係と最低地上高の関係がほぼ同じだということが分かると思います。
つまり、ライズ、ヤリスクロス、C-HRの順番で全高が低いのですが、その分、地上高もこの順番で小さくなっているのです。
その差は、ライズとヤリスクロスが15mm。
ヤリスクロスとC-HRは30mmです。
こうして見てみると、C-HRはかなり地上高が低いですね。
トヨタのコンパクトミニバン シエンタの最低地上高が145mmなので、C-HRはそれよりも地上高が低いことになります。
C-HRはSUVルックというだけで、いわゆるSUVに期待したくなるような走破性などには期待できないかもしれません。
ただトヨタのホームページでも都市型のコンパクトクロスオーバーと謳っているので、元々そういうコンセプトなんですね。
なお、RAV4とハリアーは、全高はハリアーの方が低いですが、地上高は、どちらも195mmで同じでした。
最小回転半径
それでは、次に、小回りの良さを示す指標の1つである「最小回転半径」を比較してみましょう。
最小回転半径は、最もハンドルを切った時に、前輪の外側のタイヤが描く円の半径のことです。
この値が小さいほど、小回りが効く車だということになります。
このグラフを見ると、そのボディサイズの小ささから、ライズが最も最小回転半径が小さく、小回りが効く車だということが分かります。
次に最小回転半径が小さいのが、ヤリスクロスではなくC-HR。
意外とC-HRの方がヤリスクロスよりも小回りが効くようです。
実は、先ほどご紹介したように、全長は、C-HRの方がヤリスクロスよりも長いのですが、前輪と後輪の間の長さを表すホイールベースは、C-HRの方がヤリスクロスよりも20mm短いのです。
この差が最小回転半径に現れているということだと思います。
一方、RAV4とハリアーは同じプラットフォームでホイールベースも全く同じなので、最小回転半径も同じ数字になっています。
室内広さ
では続いて、室内広さを見ていきましょう。
これら5台の車の実際の室内広さにはどのような差があるのでしょうか。
室内長さ
最初に、室内長さを比較してみましょう。
こちらは、それぞれの車のカタログに記載されている室内長さを示しました。
グラフで比較してみましょう。
これを見ると、意外にもライズがかなり広いということが分かると思います。
全長とは反対に、ライズ、ヤリスクロス、C-HRという順番で室内長さは短くなっています。
実際に私も、それぞれの車に乗ったことがあるのですが、確かに、C-HRの後席に座るとかなり窮屈さを感じました。
一方で、ライズはその見た目よりもだいぶ室内が広く感じました。ライズは、かなりパッケージ効率が高く設計されているんだなと感じます。
室内幅
次に、幅方向です。
こちらには、先ほどと同様に、各車の車内の写真を示しました。室内幅はどのような差があるでしょうか。
こちらには、それぞれの車のカタログに記載されている室内幅を示しました。
これをグラフで比較してみたいと思います。
こうして見てみると、室内幅は、車のサイズと同じ傾向で、サイズの大きい車ほど室内幅も広いということが分かります。
室内高さ
続いて、室内高さを比較してみましょう。
先ほどまでと同様に、こちらには、各車のカタログに記載されている室内高さの寸法を示しました。
こちらもグラフで見てみましょう。
室内高さは、こうして見ると、差があまり無いですね。ただ、ここでも最も室内高さが高いのはライズでした。
一方、最も高さが低いのは、ヤリスクロスです。ライズとの差は、45mmです。
また、ハリアーはRAV4よりも15mm低くなっています。
これはハリアーがスタイリングを優先してルーフを低くしていることが理由だと思います。車の全高の差にも現れていましたよね。
荷室
次に、荷室を見てみましょう。
SUVを購入しようとしている人の中には、キャンプやスノーボード、スキーなどのアウトドアを目的にしている人が多いと思います。
そのため、SUVにとって、荷室の広さや使い勝手は非常に重要です。
こちらには、各車の荷室の写真を並べてみました。それぞれ、バックドアを開けた時と、荷室のボードを外した時の様子を示しています。
順番にその特徴を見てみましょう。
ハリアー
まずはハリアーからですが、ハリアーは、荷室ボードを外すと、その下には、可動式のアンダートレーがあります。
さらにその下には、アンダーボックスがあるので、全部で3段構造となっていることになります。アンダートレイは可動式となっていて、奥に寄せたり、手前に引いたりすることができるようになっているので、小物などを収納する際は非常に便利だと思います。
RAV4
続いて、RAV4です。
RAV4は、デッキボードの高さを2段階に調整することができるようになっています。
背の高い荷物を乗せるときや、こぼれ出やすい荷物を載せる時などには便利だと思います。
また、このデッキボードは裏側が樹脂になっているので、デッキボードを裏返して使うと、濡れたものや汚れたものも気にしないで載せることができます。
C-HR
次に、C-HRです。
C-HRは、特にボードアレンジなどの機構は付いていません。
シンプルにボードの下には、パンク修理セットやジャッキが格納されており、その他のスペースは、小物を入れることができるようになっています。
ヤリスクロス
次に、ヤリスクロスです。
ヤリスクロスは、他の車と違って、パンク修理セットなどが置かれているケースが白の発泡剤となっていて、黒い色付けがされていません。
価格を抑えるためでしょうか。
普段あまり目にするところでは無いのでいいのですが、少し安っぽく感じてしまいますね。
また、ヤリスクロスも RAV4と同じように、ボードの高さを 2段階に調整できるようになっています。
さらに、ヤリスクロスは、このボードが縦に 2分割されていて、それぞれのボードの高さを変えるアレンジができるようになっています。
汚れているものや汚したくないものを仕分けて載せる時などに便利ですね。
ライズ
最後に、ライズです。
ライズもボードを上段、下段の2段階に調整できるようになっています。
また、ライズは、デッキボード下にもかなり広大なスペースがあるので、普段から頻繁に使うわけではない洗車グッズなどを収納しておくのに便利です。
さらに、縦に長い荷物を積みたいときは、このボードを外してしまえば、高さ1メーター以上のスペースが生まれます。
荷室サイズ
では、次にそれぞれの車の荷室のサイズを比較してみましょう。
こちらには、横軸に荷室幅をとり、縦軸に荷室長さ、そして丸の大きさで荷室容量を表した表を示しました。
これを見ると、やはり車両サイズ通り、RAV4とハリアーは荷室長さが長いということが分かると思います。
ヤリスクロスとRAV4の差は、240mm以上です。
一方、 ヤリスクロスとC-HRを比較すると、ヤリスクロスはC-HRよりも荷室長さが50mmも長いということがわかります。
それもあってか、C-HRの荷室容量は318Lという小ささ。
実は、最も車両サイズが小さいライズよりも50Lも小さいのです。
50Lというと2Lペットボトルが25本分ですから、かなりの差だと思います。
ただ、C-HRの荷室容量が小さいというよりは、ライズが車両サイズのわりに荷室容量が大きいということなのかもしれませんね。
まとめ
では、ここまでの内容をまとめてみましょう。
まずは、全長ですが、全長は、ここに示すように、ハリアー、RAV4、C-HR、ヤリスクロス 、ライズの順番の大きさでした。
次に全高はというと、C-HRが意外にも最も背が低く、一方で全長が短いライズは、C-HRやヤリスクロスよりも背が高いという結果でした。
また、SUVとして重要な地上高ですが、地上高も全高の関係と同じで、C-HRが最も低く、ライズはヤリスクロスよりも高くなっていました。
小回りの良さを表す指標である最小回転半径は、全長が短いライズが最も小さく、次に小さいのはヤリスクロス ではなく、C-HRでした。
次に室内広さですが、先ほどは、室内長さ、幅、高さをそれぞれご紹介しましたが、ここでは、それらをトータルした広さの順番で並べています。
その結果、全長が短いライズは意外にも室内が広く、この中ではC-HRが最も室内が狭いということが分かりました。
そして、最後に荷室容量ですが、荷室容量も最も狭いのはC-HR。
ライズとヤリスクロス は、車のサイズ通り、ヤリスクロス の方が大きくなっています。
これら、今回比較した指標を全て見てみると、やはり、RAV4とハリアーは、他の3台とは一線を画していることが分かります。
特にRAV4は本格的なSUVとしての使われ方を想定した車となっています。
また、ハリアーはRAV4と同じプラットフォームを使っているだけに、多くの指標はRAV4と同じだったのですが、スタイリングを優先して多少室内広さなどを犠牲にしている部分がありました。
また、C-HRは全長はRAV4の次に長いのですが、その他の室内広さや荷室容量といった指標は、最も全長が短いライズよりも小さくなっていました。
これもC-HRの独特なスタイリングを優先したためだと考えられます。
一方、ライズは、車両サイズが小さい割に、室内広さや荷室容量が大きく、非常にパッケージ効率良く作られた車だということが分かります。
ヤリスクロス は、どの指標もこのC-HRとライズの中間といった感じでした。
今回は、主に、車の大きさや広さという観点で比較してみましたが、後編では、エンジンスペックや装備といった観点で比較していきます。
そちらも併せてご覧下さい。