現在若い子育てファミリーに非常に人気のコンパクトミニバンのフリードとシエンタですが、どちらを買ったらいいか迷ってしまうという人も多いのではないでしょうか。
ただ、この2台のコンパクトミニバン、よく見るとそれぞれ違った特徴を持つ車だということが分かります。
そこで、今日は、ホンダ フリードとトヨタ シエンタについて、様々な角度から徹底比較してみたいと思います。
是非、コンパクトミニバンの購入を検討されている方は参考にしてみて下さい。
車両サイズ
まずは全体のシルエットを比較してみましょう。
こちらには、ホンダ フリードとトヨタ シエンタを前から、横から、後から見たシルエットを比較してみました。
シルエットはやはり似ていますね。
具体的なサイズを比較してみましょう。
こちらには、縦軸に全幅をとり、横軸に全長をとったグラフを示しました。
全幅はフリードもシエンタもどちらも1,695mmで、ギリギリ5ナンバーサイズにおさめています。
一方で、全長はシエンタの方が5mmだけ短くなっています。
また、こちらには、縦軸に全高、横軸に全長をとったグラフを示しました。
このグラフをみると、フリードとシエンタそれぞれ2WDと4WDで全高が異なるようです。
2WD同士で比較すると、シエンタがフリードに対して35mm低くなっています。
4WD同士で比較すると、シエンタが40mm低くなっていますね。
室内広さ
続いて、室内の広さを比較してみましょう。
こちらには、ホンダ フリードとトヨタ シエンタのそれぞれの室内空間を示しました。
それぞれのカタログに記載されている室内寸法を比較してみると、室内長は、フリードの方が510mmも長くなっています。
こう見るとかなりフリードの方が良さそうですが、下でご説明しますが、フリードはシエンタに対して3列目席をかなり後ろに下げています。
なので、フリードは3列目を使っている時は荷室が狭く、ほとんど物が置けない状態になってしまうのです。
室内広さをとるか、荷室広さをとるか、一長一短ですね。
一方、室内幅はシエンタの方が15mm広く、室内高さもシエンタの方が5mm高くなっています。
スライドドア乗り込み易さ
それでは次に、スライドドアの乗り込み易さについて比較してみましょう。
スライドドアの開口幅は、フリードもシエンタも665mmで同じでした。
シエンタはフリードよりも車の全高が低いので、開口高さはフリードに対してシエンタが15mm低くなっています。
一方で、ステップ高さは、シエンタの方がフリードよりも60mmも低くなっています。
これだけ違うと、乗り込み易さはだいぶ差が生まれそうです。
横から見た上の写真からもよく分かると思うのですが、シエンタの方が床が低くて、床自体の厚さも薄いですよね。
これが、このステップ低さと上でもご紹介した室内広さの差となっているのではないでしょうか。
荷室
荷室バリエーション
こちらには、フリードとシエンタの荷室のバリエーションを示しました。
実は、フリードとシエンタには、2WD、4WD、2列シート仕様、3列シート仕様毎に異なる荷室の仕様があります。
フリードは、3列仕様は、2WDと4WDで荷室に仕様差は無いのですが、2列仕様のフリードプラスは、2WDと4WDで仕様が異なります。
2WDの方がかなり床が低くなっているのですが、4WDは3列仕様のフリードと同じ高さのように見えます。
4WDは床下にプロペラシャフトとリアデフがいるので、2WDほど床を下げられなかったということなのだと思います。
一方、シエンタは、2列仕様、3列仕様ともに、2WDと4WDの間に差はありません。
ただ、2列仕様は、3列仕様に比べて荷室床の高さが1段高くなっています。
これは、2列目シートを倒した時の床面高さをフラットにするためだと思うのですが、その分重い荷物を積み込む際には、少し苦労しそうですね。
3列仕様
それでは、仕様毎にフリードとシエンタを比較してみましょう。
まずは、3列シート仕様です。
奥行き
室内長さがフリードの方が広く、シエンタが短かったのですが、その分3列目席を出した状態での荷室の奥行きに差が見られました。
フリードは、3列目席を出した状態での荷室の奥行きが250mm。
一方、シエンタは、400mmです。
実に、150mmもの差がありました。
実際、フリードは3列目席を出している状態だと、スーパーの買い物袋くらいしか乗せられませんが、シエンタは小さめのベビーカーや子供用の自転車なども積めるくらい十分な広さがあります。
また、シエンタには、荷室のボードの下に、わずかですが、収納スペースが隠されています。
(ハイブリッド車はガソリン車に対して狭い)
フリードはこういった収納スペースは無いので、3列席を出している時の荷室の使い勝手はシエンタの方が良さそうですね。
開口部高さ
次に、開口部高さを3列仕様同士で比較してみます。
重い荷物を積み込む時には、できるだけ荷室の開口部高さが低い方が積み込み易いですよね。
上には、フリードとシエンタそれぞれの開口部高さを棒グラフで示しました。
開口部高さは、25mmフリードの方が低くなっています。
25mmというと、ちょうど500円玉の直径くらいのサイズ感です。
これだけ開口部高さが違うと、重い荷物を積み込む際は、フリードの方がだいぶ積み込み易く感じそうです。
荷室高さ
続いて、実際に大きなものを積む時に重要な荷室高さを3列仕様同士で比較してみます。
上には、フリードとシエンタそれぞれの荷室高さを棒グラフで示しました。
これを見ると、フリードの方がシエンタよりも、荷室高さは170mm高くなっています。
170mmというと、だいたい少年ジャンプの高さと同じくらいなので、かなりフリードの方が荷室が高いということが分かります。
つまり、フリードはシエンタよりも大きな荷物を積むことができるということですね。
なお、フリードは、シエンタよりも車の全高が35〜40mm大きいですが、全高の差以上の差が荷室に表れていました。
3列席収納
フリードとシエンタは、3列席の収納の仕方が異なります。
フリードは、トヨタ ヴォクシーなどと同じように、3列席を横に吊り上げて収納する構造となっています。
一方でシエンタは、3列席を床下に格納する構造となります。これは、ホンダ ステップワゴンと同じ構造です。
コンパクトミニバンと中型ミニバンで3列席の収納方法がトヨタとホンダで逆になっているのが面白いですね。
3列席を収納した状態だと、シエンタの方がすっきりとしていて、荷物が乗せやすそうです。
ただ、その分上でご説明したように、荷室の床は高くなっているので、重い荷物を乗せる時は苦労しそうです。
一長一短ですね。
3列席を収納して、さらに2列席を前方に折りたたむと、フリード、シエンタともに荷室最大状態を作り出せますが、その時の荷室の奥行きは、フリードが1,450mm、シエンタが1,430mm。
20mmだけフリードの方が奥行きが長くなっています。
まあ、1円玉1つ分の差なので、たいした差ではないですね。
なお、ホンダ フリードの6人乗り仕様の場合、2列目席がキャプテンシートになっているので、折りたたむことができません。
そのため、6人乗り仕様だと荷室最大状態の奥行きはかなり小さくなってしまいそうです。
2列仕様
それでは、続いて2列シート仕様同士を比較してみましょう。
荷室ボード高さ
こちらには、2列仕様の荷室の写真を並べましたが、フリードは、2WDと4WDで荷室開口部の高さが異なります。
また、こう見ると、シエンタは少し荷室ボード面が高いように見えますね。
おそらく、2列目席を倒した時に、荷室面をフラットにするために、あえてボード面を高くしているのだと予想できます。
ただ、その分、ボードの下に床下収納スペースが確保されています。
一方でフリードは、元々2段の荷室になっていて、上のボードが2列目席を倒した時にシート背面と同じ高さになり、フラットな荷室面ができるようになっています。
この上のボードは取り外すことができるので、ボードを取り外せばかなり背の高い荷物も載せることができます。
特に2WD仕様は、開口部高さも4WDや3列シート仕様に比べて低くなっているので、実際に荷室を見るとかなり広く見えると思います。
では、グラフで実際の寸法を比較してみましょう。
こちらには、それぞれの荷室ボード面高さを棒グラフで示しました。
シエンタの2列仕様は、実は3列仕様よりも荷室ボード面高さが高くなっているんですね。
フリードの4WDはシエンタよりも105mmも荷室ボード面高さが低くなっています。
これは、500円玉4枚分くらいなので、かなりフリード4WDの方が低いということが分かると思います。
また、フリードの2WDはさらに低く、シエンタよりも275mmも低くなっています。
これは、B5ノートの高さくらいの差になるので、非常に差が大きいですね。
荷室高さ
荷室高さを2列シート仕様同士で比較してみましょう。
こちらには、それぞれの荷室高さを棒グラフで示しました。
これを見ると、圧倒的にシエンタが荷室高さが小さいということが分かります。
フリードの4WDと比較すると、その差は、295mm。
これは、千円札2枚分です。
さらにフリードの2WDと比較すると、差は、415mmにもなります。
これは、「少年ジャンプ」2冊分。
そう考えると、2列仕様の場合は、荷室の広さや使い勝手は圧倒的にフリードの方が良さそうですね。
エンジンスペック
続いて、エンジンスペックの比較です。
こちらには、横軸に最大トルクをとり、縦軸に最高出力をとったグラフを示しました。
ガソリン車は白抜き円で、ハイブリッド車は中塗り円で示しています。
なお、フリードは、2WD、4WDで同じエンジンスペックとなっていますが、シエンタはガソリン車の2WDと4WDエンジンスペックが異なっています。
これを見ると、エンジンスペックは、シエンタに対してフリードがハイブリッド車、ガソリン車ともにスペックが高いことが分かります。
特にガソリン車に関して言うと、トルクの差が大きいですね。
一概にエンジンスペックの差だけでは言えませんが、これだけトルクが違うと、運転した時に動力性能の差は明確に感じられそうです。
モータースペック
次に、ハイブリッドモーターのスペックを比較してみましょう。
フリードもシエンタもハイブリッド仕様がありますが、それぞれのモータースペックにはどのような差があるのでしょうか。
こちらには、横軸にモーターの最大トルクをとり、縦軸に最大出力をとったグラフを示しました。
なお、参考に、トヨタ プリウスのフロントモーターのスペックを併せてプロットしています。
これを見ると、エンジンスペックとは対照的に、フリードに対してシエンタのモータースペックが高いように見えます。
エンジンスペックはフリードの方が高かったので、ハイブリッド車の場合は、フリードはエンジンに比重が置かれており、シエンタはモーターに比重が置かれているということなのでしょうか。
燃費
こちらには、フリード、シエンタの燃費をWLTCモードで比較したグラフを示しています。
あくまでもカタログ燃費なので、実際の燃費とは若干の乖離がある可能性があります。
なお、シエンタには、ハイブリッドの4WDの設定はありません。
ガソリン車同士を比較すると、ほとんど変わりませんが、フリードの方が若干良さそうですね。
一方で、ハイブリッド車を比較してみると、数キロの差ですが、シエンタの方が燃費が良いことが分かります。
とはいえ、このくらいの燃費差であれば、どちらが優位ということも無いですね。
フリードもシエンタもどちらも燃費の良い車です。
価格
最後に価格を比較してみましょう。
こちらには、カタログに記載されている価格をオプション費、その他諸費用を含まずに、ガソリン車とハイブリッド車に分けてレンジで示しています。
これを見ると、ガソリン車、ハイブリッド車ともに、シエンタの方がフリードよりも安いことが分かります。
ガソリン車のエントリー価格で言うと19万円の差。
ハイブリッド車の場合は33万円もの差があります。
これだけ価格が違うというのは少し驚きですね。
フリードのガソリン車の価格帯に、シエンタハイブリッドの価格が重なっているので、フリードのガソリン車を買おうと思うと、その予算でシエンタのハイブリッドが買えてしまいます。
燃費に比重を置かれる方にとっては、同じ価格で燃費の良いハイブリッドが買えるなら、シエンタハイブリッドの方が良いですよね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
一見同じように見えてしまうホンダ フリードとトヨタ シエンタですが、こうやってカタログスペックを見比べてみるだけで、全く違う特徴を持った車だということが分かったと思います。
今回比較してみた結果を見ると、「価格」「乗り込み易さ」あとは「3列席を出した時の荷室の使い勝手」で選ぶのであればシエンタ。
「室内広さ(前後方向広さ)」「2列仕様の荷室広さ・使い勝手」で選ぶのであればフリードという感じでしょうか。
とはいえ、大事なのは、デザインや実際に乗ってみた感じが気に入るかどうかです。
是非、コンパクトミニバンの購入を検討されている方は、今回ご紹介した内容を参考にしつつ、実際にディーラーに足を運んで確認してみて下さい。