現在非常に人気のコンパクトSUVですが、各社様々な車を発売しているので、どの車を買ったら良いか迷ってしまうという人も多いのではないでしょうか。
特に現在人気の、トヨタ ヤリスクロス、ホンダ ヴェゼル、日産キックスはサイズや価格帯がほぼ同じというだけあって、どれが良いか迷われている方も多いと思います。
ただ、これらの車を比較してみると、それぞれが違った特徴を持つ車だということが分かりました。
そこで、今日は、これら3台を様々な角度から徹底分析していきたいと思います。
是非、コンパクトSUVの購入を検討されている方は、参考にしてみてください。
エクステリアデザイン
それでは、まず最初にエクステリアデザインから見ていきましょう。
こちらには、上から、ヤリスクロス、ヴェゼル、キックスの順番で、それぞれ、前から、横から、後から見た写真を並べてみました。
当然ですが、三者三様のスタイリングとなっています。
フロントフェイスは、どれがかっこいいいと思うかは人によって好みが分かれると思いますが、ここで特に比較していきたいのが、横から見た時のシルエットです。
まず注目したいのが、ヴェゼルのウエストラインの高さです。
真っ直ぐ引かれたそのウエストラインは、他の2台に比べて高く、サイドウインドウの高さがボディの幅に対してかなり小さく見えます。
一方で、キックスは、ややUの字のようなウエストラインを描いており、随分とサイドウインドウも大きく見えます。
ヤリスクロスのウエストラインもややUの字となっていますが、ウエストラインの高さとサイドウインドウの大きさは、ヴェゼルとキックスの間でしょうか。
続いて、ルーフの形です。
ルーフは、ヴェゼルはウエストラインと並行に真っ直ぐフラットな形状となっています。
それとは対照的に、キックスは、運転席の頭部分が最も高くなってて、後に行けば行くほど下がっているよう見えます。
一方で、ヤリスクロスもヴェゼルと同じように、真っ直ぐフラットな形状となっています。
このウエストラインとルーフの形状だけ見ても、随分と印象が変わるものです。
このウエストラインとルーフの形状は、室内の広さ感や、明るさといったこところに影響を与えるのですが、単純にデザイン性だけを見ると、キックスは少しボテッとした印象を持ちます。
一方、ヴェゼルは、全てのラインが真っ直ぐ並行になっていて、どしっとした力強さを感じると思います。
ヤリスクロスは、ヴェゼルとキックスの中間といった感じでしょうか。
続いて、後から見た写真を比較してみましょう。
ここで注目したいのが、バックウインドウの大きさです。
ヴェゼルはデザイン性からくる、ウエストラインの高さからバックウインドウがかなり小さくなっていることがわかると思います。
一方、キックスは、サイドウインドウと同じく、バックウインドウも他の車に比べて大きくなっています。
バックウインドウの大きさは、後方視界に影響を与えるのですが、それについては後ほどご説明します。
ただ、このように、それぞれの車のデザインを見てみると、各車それぞれ、そのデザインコンセプトが異なるということがよく分かると思います。
サイズ
それでは、次に、具体的なサイズを比較してみましょう。
こちらには、横軸に全長をとり、縦軸に全高をとったグラフを示しました。
このグラフからも分かるように、この3台の車の中で、最も全長が長いのが、ヴェゼルでした。
一方、最も短いのがヤリスクロスです。
その全長差は、150mmです。
150mmというと、ちょうど葉書の縦の寸法と同じくらいなので、同じコンパクトSUVといえども、結構サイズ差がありますね。
キックスは、ヤリスクロスとヴェゼルの間に位置します。
一方で、全高は最も高いのがキックスで1610mmです。
それに対して、最も全高が低いのが、ヴェゼルで、1580mm。
その差は30ミリです。
30ミリというとちょうど500円玉のサイズなので、全高でこれだけ違うと、随分と見た目の印象が違うはずです。
先ほどご紹介したように、横から見たデザインの比較でもその差がよく分かりましたよね。
次に、こちらには、横軸に全幅をとり、縦軸には先ほどと同様に全高をとったグラフを示しました。
これを見ると、全高と全幅の関係が逆になっていることが分かります。
全高は最もキックスが高く、ヴェゼルとの差は30mmでしたが、全幅はそのキックスが最も小さく、ヴェゼルが最も大きくなっています。
その差は全高と同じ30mm。
先ほどもご紹介しましたが、30mmというと500円玉の直径と同じサイズです。
全幅と全高でそれぞれ30mmも違うわけですから、見た目の印象はかなり変わるはずです。
こちらには、ヴェゼルとキックスのそれぞれ前から見た写真を並べてみました。
こうやって見ても、ヴェゼルの方が全高は低く、全幅が広くなっていて、なんとなく重心が低く、どしっとした印象を持つのではないでしょうか。
なお、ヤリスクロスは、全幅もヴェゼルとキックスの間の寸法となっています。
最低地上高
続いて、SUVとして、オフロード走行性に対して重要な最低地上高を見てみましょう。
こちらには、左から、ヤリスクロスの2WD、4WD、ヴェゼルの2WD、4WD、キックスの2WDの最低地上高を棒グラフにして表してみました。
なお、キックスは4WDの設定が無いので、2WDのみとしています。
これを見ると、ヴェゼルの2WD以外は全て同じで170mmとなっています。
ヴェゼルの2WDは185mmと他の車に対して15mmほど地上高が高くなっていますが、RAV4やCR-V、エクストレイルといった1つ大きいサイズのSUVが地上高は195mmから210mmほどとれているので、それと比べると、全体的に20から30ミリほど地上高が低くなっています。
インテリア
それでは、ここからは、インテリアを比較していきましょう。
メーター
まず最初にメーターを比較していきたいと思います。
こちらには、左から、ヤリスクロス、ヴェゼル、キックスのメーターを並べてみました。
ヤリスクロスとヴェゼルにはグレードと仕様によって2つの異なるメーターが存在します。
キックスは全仕様、グレードで1種類のメーターとなります。
ヤリスクロスから順番に見ていきましょう。
上の写真には、アナログメーター部分を緑で示し、デジタル表示の部分をピンク色で示しました。
ヤリスクロスの場合、上位グレードの「Z」は、中央に大きな速度メーターがデジタルで表示され、その両脇にあるタコメータと燃料ゲージは、アナログメーターとなっています。
一方で、下位グレードのXとGは、左右にタコメーターと速度メーターがあり、中央はインフォメーションディスプレイとなっています。これらは全てデジタル表示となります。
ヴェゼルは、ハイブリッドとガソリン車でそれぞれメーター仕様が異なります。
ハイブリッド仕様はアナログの速度メーターに7インチのインフォメーションディスプレイが備わります。
一方で、ガソリン車の場合は、アナログのタコメーターと速度メーターが左右に並び、中央には4.2インチのインフォメーションディスプレイとなります。
ガソリン車の場合、少し古臭い感じがしますね。
キックスは、全グレード同じディスプレイとなっており、右側がアナログの速度メーター。
左側が7インチのインフォメーションディスプレイとなっています。
こうして見比べてみると、どの車も、最近流行りのフルデジタルメーターにはなっておらず、アナログメーターとデジタルディスプレイの組み合わせであることは共通していました。
ただ、これら3台の全ての仕様を見てみると、ヴェゼルのガソリン車仕様だけ、少し古臭いデザインとなっています。
これだと、ヴェゼルの場合ハイブリッドを選びたくなります。
ナビディスプレイ
次にナビディスプレイを比較してみましょう。
ディスプレイ位置は、ヤリスクロスとヴェゼルが運転中の視線の動きを意識したインパネ中央の上側。
一方、キックスは従来の車と同様にインパネ中央に設定されています。
では、ここからそれぞれの車のディスプレイサイズを見ていきます。
まずはヤリスクロスからです。
ヤリスクロスの場合、上位グレードのGとZは8インチのディスプレイが標準装備となっています。
一方で、最廉価グレードのXでは標準のナビが7インチディスプレイとなっています。
続いて、ヴェゼルは、メーカーオプションのナビとディーラーオプションのナビがあります。
どちらもディスプレイサイズは9インチです。
ただ、メーカーオプションのナビを選択すると、常に最新の地図データに更新してくれる自動地図更新サービスだったり、スマホが鍵になるデジタルキー、車内で快適なネット環境を実現する車内Wi-Fi、そしてアプリを一覧で表示してくれるアプリセンターなどといったホンダ初となるシステムが利用できるようになります。
メーカーオプションナビの価格は22万円とややお高いですし、これらのシステムを利用するためには、一部月額料金が必要なものもありますが、かなり便利なシステムとなっているので、是非ともメーカーオプションナビを選択しておきたいところです。
次にキックスですが、キックスはベースは7インチディスプレイとなっています。
ただ、ディーラーオプションで9インチのディスプレイを選択することもできます。
9インチディスプレイと7インチディスプレイの価格差は10万円ほどですが、ヴェゼルのように、ディスプレイサイズの他に機能差は無さそうです。
こうして見てみると、ディスプレイサイズは、ヴェゼルとキックスが最大9インチの特大サイズが選べるようになっており、ヤリスクロスは8インチとなっています。
ただ、ナビシステムとして見ると、ヴェゼルはメーカーオプションナビを選んだ場合、ユニークなシステムが利用できるので、他の2台に一歩差を付けているように感じました。
シート
次に、シートを見ていきましょう。
3台とも、シートの材質やデザインはグレード毎に異なります。
ヤリスクロスは、最廉価グレードの「X」はシンプルなファブリックシートになっていますが、中間グレードの「G」は少しデザインが異なり、材質もより上級のファブリックとなっています。
また、最上位グレードの「Z」になると、ブラウンの合成皮革にツイード調のファブリックが組み合わされた、よりお洒落なシートとなります。
次にヴェゼルですが、ヴェゼルは、ヤリスクロスと同様に、ガソリン車とハイブリッドの最廉価グレードはシンプルなファブリック仕様となっています。
中間グレードのZは、プライムスムースというホンダ独自の合成皮革にも似た材質とファブリックを組み合わせたコンビシートとなっています。
また、上位グレードの「プレイ」を選ぶと、材質は中間グレードと同様のプライムスムースとファブリックの組み合わせなのですが、カラーがホワイトとグレーのお洒落な仕様となります。
ヴェゼルは、ガソリン車を選んだ場合、シートの材質はファブリックしか選ぶことができません。
メーターと同様に、ガソリン車の仕様は少し寂しいですね。これはハイブリッド仕様を選んでくれというメーカー側のメッセージなのでしょうか。
最後にキックスですが、キックスは、全グレード合成皮革とファブリックを組み合わせたシートとなります。
ただ、インテリアツートンエディションというグレード設定があるのですが、それを選んだ場合、オレンジの鮮やかな合皮とブラックのファブリックを組み合わせたよりお洒落なシートとなります。
こうして見てみると、シートについては、どの車も上位グレードでは、合成皮革とファブリックの組み合わせとなっています。ただ、前型のヴェゼルのように、本革シートの設定がある車はないようです。
デザインについては、どの車がいいかは好みによって分かれそうですね。
視界
次に視界を比較してみましょう。
運転をする際に、周囲の見えやすさというは非常に重要です。
SUVは、セダンなどと比べると、シートの高さが高いので、比較的視界は良くて運転し易いとは思いますが、その中で、この3台はそれぞれどうなのでしょうか。
こちらには、左から順番にヤリスクロス、ヴェゼル、キックスの視界を示してみました。
最初は、よく死角となるAピラー部分から見てみましょう。
これらの車はすべて、サイドミラーはドア付けとなっています。
ただ、運転席から見た時の視界の広さには、差がありそうです。
写真を見るとよく分かると思うのですが、この中では、真ん中で示したヴェゼルが最もAピラーが細く、四角が少ないと言うことが分かると思います。
一方、ヤリスクロスとキックスは、Aピラーの付け根部分の死角が多く左折時、右折時には、少し周囲が見難そうです。
次に後側の視界を見てみましょう。
後方視界は、先ほどエクステリアデザインのところでもご説明しましたが、ヴェゼルはウエストラインの位置がかなり高く、リアサイドウインドウとバックウインドウがかなり小さくなっています。
これによって、後方視界は、他の2台に比べて、やや悪くなっているように感じました。
また、ここに示した写真からも分かると思いますが、ヴェゼルは、このリアサイドウインドウとバックウインドウの小ささから、後席に座った時にやや暗い感じがします。
寸法的には、ヴェゼルの方が後席は広いのですが、実際に座ってみると、キックスは窓が大きく明るい感じがするので、キックスもヴェゼルと同じくらい後席が広い感じがしました。
是非、ディーラーで座って確かめてみて下さい。
室内広さ
続いて、室内広さを比較していきます。
こちらには、横軸に室内長さ、縦軸に室内高さをとったグラフを示しました。
さらに、この室内長さと室内高さに室内幅を掛け合わせた値を簡易的な室内容積として見積もり、丸の大きさで表しています。
まずは、室内長さから見てみましょう。
この3台の中で最も室内長さが短いのがヤリスクロスでした。
これは車のサイズの差から見てもしょうがないことかなと思います。
2番目は、キックスです。
キックスとヤリスクロスの差は、75mm。
75mmというと、ちょうど千円札の縦長さと同じくらいです。
大体室内長さの差は、後席の足元の広さに直接影響するのですが、これだけ差があると、後席に座った時のゆとりだったり、広さ感は、大きく変わりそうです。
最も室内長さが長いのが、ヴェゼルでした。
ヴェゼルはキックスよりもさらに90mm長いことになります。
90mmというと、大体名刺の幅サイズと同じなので、ヴェゼルは後席の広さは他の2台に比べてかなり広く感じそうです。
実際ヴェゼルはモデルチェンジをして、前型に対してもこの後席の足元広さを35mmも広くしてきたようです。
前型でもヤリスクロスとキックスと比べると、後席の足元広さは十分広かったのですが、新型になって、さらにその強みを強化してきました。
一方、室内高さは、最も低いのが室内長さと同じくヤリスクロスで、2番目はヴェゼルでした。
ヤリスクロスとヴェゼルの差は20mmです。
20mmというと、ちょうど1円玉の直径と同じです。
そう考えると大した差ではないようにも感じますが、実際に乗ってみた印象は、だいぶ違っていました。
続いて、室内高さが最も高いのは、キックスです。
キックスは、ヴェゼルよりもさらに25mm室内高さが高くなっています。
キックスは実際に乗り込んでみると、室内長さはヴェゼルよりも短いものの、この室内高さが高いことが影響してか、かなり開放感のある室内となっていました。
車のサイズから見てもキックスは他の2台に比べて全高が高かったので、デザイン性や空力性能などを犠牲にしてでも室内広さを優先させた結果と言えるのかもしれません。
ただ、その分、キックスは室内幅が他の2台に比べて狭いので、これらの結果、室内容量として見ると、最も広いのがヴェゼル、2番目がキックスで、最後がヤリスクロスという順番になっています。
荷室
荷室広さ
次にSUVとして非常に重要な荷室を比較していきましょう。
こちらには、左からヤリスクロス、ヴェゼル、キックス、それぞれの荷室の写真を示しました。
また、その下には、それぞれの荷室長さ、幅、高さ、そして、荷室の容量を示しています。
ヴェゼルは、ホンダが公式にはその荷室容量の数字を公表していないので、ヴェゼルの荷室容量の数字はあくまでも各メディアによる予測ということになります。
ただ、前型ヴェゼルの荷室容量が404Lで、新型はそれよりは小さくなったとの発表はあったので、そんなに外れた数字では無いと思っています。
これを見ると、この3台の中で最も荷室容量が大きいのがキックスでした。
そして、意外にも2番目に大きいのがヤリスクロスで、最も荷室が小さいのがヴェゼルでした。
ヴェゼルとキックスの差は約40Lですから、2Lペットボトル20本分もの差があることになります。
冒頭で横から見た時のシルエットの差についてご紹介したと思いますが、ヴェゼルはクーペらしいデザインを実現するために、かなりルーフが低く、バックドアも斜めに寝かせたデザインとなっていました。
一方のキックスは全高も高く、横から見たシルエットは少しぼてっとしたデザインに見えましたが、逆に、室内広さや荷室広さといった観点で見てみると、そのデザインが功をそうしたと言えるのではないでしょうか。
実際に、荷室高さを比較してみると、ヴェゼルとキックスは75mmもの差があります。
75mmというと、千円札の縦の寸法と同じくらいなので、かなり大きな違いとなっていると思います。
そうやって見てみると、荷室長さも随分と違います。
キックスの荷室長さは、ヴェゼルと比べると、140mmも長くなっています。
140mmは500ミリリットルパックの高さと同じ寸法なので、そう考えるとその差の大きさがよく分かると思います。
荷室の使い勝手の良さ
では、続いて、荷室の使い勝手の良さを比較してみましょう。
荷室の広さも重要ですが、当然荷室の使い勝手という面も非常に重要です。
ここからは、それぞれの荷室の使い勝手という意味で、アレンジ性を見てみましょう。
まずは、リアシートの分割ですが、ヤリスクロスは、最廉価グレードのX以外は、4対2対4分割となっています。
一方で、ヴェゼルとキックスは6対4分割です。
ヤリスクロスは、細長いものを積みたい時に便利ですね。
次に、リアシートのシートバックを倒した時の荷室の状態を見てみましょう。
ヤリスクロスとヴェゼルは完全にフラットになります。
ややヤリスクロスはリアシート部分が斜めになっているようにも見えますが、このようにフラットになってくれると、大きな物を載せる時や、車中泊をする際も不便なく使うことができそうです。
ただ、一方でキックスは、リアシート部分でかなりの段差ができてしまい、フラットにはなりません。
ヴェゼルは、荷室をフラットにするために、リアシートが前に倒れ込むような構造となっているのですが、キックスはただシートバックを倒すだけの構造なので、どうしても段差が残ってしまいます。
荷室容量が大きいのはキックスの良いところなのですが、荷室面をフラットにできないというのは少し残念ですね。
また、その他のアレンジ性で言うと、ヤリスクロスは2WDの上位グレードのみの設定となりますが、縦に左右に分割されたボードが設定されています。
これによって、汚れたものと汚したく無いものを仕分けることができたり、運転中に荷物が転がったりすることを防いでくれるので、非常に便利だと思います。
ヴェゼルやキックスには、こういった機能の設定はなく、ボードは1枚となっています。
こうして見てみると、荷室のアレンジ性という観点では、ヤリスクロスが他の2台に対して一歩リードしている気がしますね。
荷室と室内広さに差が出る理由
さて、ここまでヤリスクロスとヴェゼルとキックスのそれぞれの室内と荷室の広さをご紹介してきましたが、実は、それぞれの車のハイブリッドバッテリーの配置を知ると、それらの比較した結果がより深く理解し納得できるはずです。
こちらには、それぞれの車の燃料タンクの位置と、ハイブリッドバッテリーの位置を簡易的に示した絵を表示しました。
緑の線がボディのいわゆる床の位置を示していて、ピンクが燃料タンク、紫がハイブリッドバッテリーの位置を示しています。
まず、ヤリスクロスからですが、ヤリスクロスは、後席のシート下にハイブリッドバッテリーを搭載しています。
燃料タンクは、ちょうどそのハイブリッドバッテリーの下あたりです。
この燃料タンクの位置は、通常の車が一般的に置いている位置そのものです。
また、このバッテリーと燃料タンクの配置は、プリウスやRAV4のハイブリッドなど、他のトヨタのハイブリッド車全て共通の配置となっています。
この部品配置の特徴は、前席の下に何も無いので、後席に座った時に足を前席の下にすっぽりと入れられることと、荷室にバッテリーなど大きな部品を置いていないため、荷室を広く取れることです。
一方で、ヴェゼルは、ハイブリッドバッテリーが荷室にあります。
そのため、荷室の容量は、先ほどもご紹介したように、ヤリスクロスやキックスに対して、容量が小さくなってしまっています。
ただ、ヴェゼルの特徴的なところが、燃料タンクが、通常の車とは違い、前席の下に配置されていることです。
ホンダのコンパクトハイブリッドカー独自のいわゆるセンタータンクレイアウトです。
これは、前型のヴェゼルや歴代のフィットも同様の配置となっています。
これによって、後席足元は床が非常に低く、後席を畳んだ時に、広大なスペースが生まれることになります。
次に、キックスです。
キックスはノートとハイブリッドバッテリーの配置は同じで、前席の下に配置されています。
一方で、燃料タンクは、通常の車と同じで後席の下です。
荷室部分には、ハイブリッドバッテリーなど大きな部品は配置していないので、ヴェゼルに対して、かなり広大な荷室が確保されています。
こうやって見てみると、各社、部品の配置を変えながら試行錯誤をして、それぞれの車の強みを作っているのだということがよく分かると思います。
燃費
それでは、次に、燃費を比較してみましょう。
こちらには、それぞれの車のカタログに記載されているJC08モードの燃費を棒グラフで示しました。
それぞれハイブリッド車同士の比較としています。
まず、2WD同士で比較すると、最も燃費が良いのがヤリスクロスでした。
その次がヴェゼルで、最後がキックスです。
ただ、どの車もリッターあたり30キロを超えていますし、大きな差はありません。
どれを選んでもかなり燃費が良さそうです。
一方、4WD同士を比較してみると、やはりヤリスクロスが最も燃費が良く、ヴェゼルとの差は3キロ弱。やや差が開いています。
ただ、ヤリスクロスの四駆システムはモーター四駆であるのに対して、ヴェゼルはメカ四駆なので、その分ヴェゼルは四駆性能が高いということへの対価だと思うとしょうがないことなのかもしれません。
なお、キックスには4WDの設定はありません。
主要装備
続いて、主要装備を比較してみましょう。
ここには、各車差がありそうな主要装備を並べてみました。
上から、予防安全系の装備、視界系、エクステリア、快適装備の順番です。
また、それぞれ、全車標準装備となっているものは白丸で示し、グレードにより標準となっているものは黒丸、全車オプションとなっているものは白四角で、グレードによりオプション設定となっているものは黒四角、設定が無いものは、横棒で示しました。
これを見ると、全体的に、ヤリスクロスがグレードにより標準装備となっているものでも、ヴェゼルとキックスは全車標準装備となっているものが多いことが分かると思います。
ヴェゼルとキックスは、予防安全系の装備は、だいたい標準装備となっています。
ただ、キックスは、リアのオートブレーキがついていなかったり、ダウンヒルアシストやパワーバックドアも付いていません。4WDの設定も無いことから、かなり割り切った設定となっていることが分かります。
また次に特徴的なのが、今流行の流れるウインカーのシーケンシャルターンランプです。
これは、ヤリスクロスとキックスには設定はなく、ヴェゼルの上位グレードのみの設定となっています。
次に、パワーシートです。
これは、ヴェゼルとキックスには設定はなく、ヤリスクロスの上位グレードのみの設定です。
ヴェゼルは、前型モデルには上位グレードで設定があったのですが、新型にモデルチェンジして、パワーシートの設定が無くなってしまいました。
最後にパノラマルーフですが、ヴェゼルには、上位グレードのPLayのみですが、大きなパノラマルーフの設定があります。
ただ、ヤリスクロスとキックスには、パノラマルーフの設定はありません。
こうやって見てみると、やはり、装備はヴェゼルが最も充実していますね。
価格
最後に価格を比較してみましょう。
こちらには、各車ハイブリッド仕様の全グレードの価格をレンジで示しました。
これを見ると、今回比較した3台の中で、最も価格が安いのは、ヤリスクロスだということが分かります。
ヤリスクロスとヴェゼルの最廉価グレードの価格差は、約37万円。
かなり大きいですね。
これまで見てきたサイズや装備の比較とこの価格を見ると、ヤリスクロスはヴェゼルやキックスよりも1クラス下の車と思った方がいいのかもしれません。
ただ、荷室の広さや使い勝手でいうと、ヴェゼルよりも良く、キックスにも大きく負けていないので、この価格差はヤリスクロスの魅力と言えると思います。
キックスは2WDしか設定が無いこともあり、ヴェゼルの価格帯にすっぽりとその価格帯がおさまるような状態です。
まとめ
それでは、まとめたいと思います。
ここまで見てきた通り、ヤリスクロスとヴェゼルとキックスは、それぞれ違った特徴を持った車だということが分かりました。
それぞれの車の良い点をそれぞれ3つあげるとすると、まずヤリスクロスは、そのコンパクトなサイズ感にも関わらず意外にも広い荷室です。
ヴェゼルよりも容量として広いのには驚きました。
また、荷室のボードが分割されており、アレンジ性が高く使い勝手が良いのも特徴です。
次に燃費の良さと価格の安さはこの3台の中でそれぞれ1番でした。
続いて、ヴェゼルですが、ヴェゼルは、Aピラーが細く、サイドミラー部分の視界が良いのが特徴でした。
さらに、室内は、後席の足元が広く、セカンドシートを畳んで、荷室として使えることも特徴です。
また、装備は非常に充実しており、この3台の中では便利な装備が最も多かったです。
最後にキックスですが、キックスは、その高い車高からくる、室内の広さと荷室の広さが特徴でした。
また、サイドウインドウやバックウインドウが大きいため、後方視界も良く、運転がし易い車となっています。
いかがでしたでしょうか。
今日は、今人気のコンパクトSUVであるヤリスクロス、ヴェゼル、キックスを比較してみました。
是非、購入を検討されている方は今日ご紹介した内容を参考にしてみて下さい。
ただ、大切なのは実際に自分が乗ってみて気に入るかどうかです。
是非、ディーラーに足を運んでチェックしてみて下さい。