車の安全性能は、この50年の間に大きな進化を遂げてきました。
そんな車の安全性の進化がよくわかる衝撃的な動画を今日はご紹介したいと思います。
ご紹介する動画は、アメリカのIIHS(Insurance Institute for Highway Safety)という研究機関が行なった衝突実験です。
50年前の車と現代の車の衝突実験
この衝突実験は、1959年製のシボレーBel Airという車と、2009年製のシボレー マリブを対面衝突させた実験です。
50年の時点差があるこの2台の車、一体どうなってしまうのでしょうか?
車の安全性の進化
この2台の車を比べてみると、50年間で、車の安全性がどのように進化してきたのかがよく分かります。
そもそも、1959年製のシボレー Bel Airには、現代の車には当たり前のように付いている3点式シートベルトも、エアバッグも付いていません。
3点式シートベルト
3点式シートベルトが初めて車に採用されたのは、1959年のことでした。
それまでは、バスのシートベルトのような2点式が一般的だったのですが、より安全性を高めた3点式がボルボの車で採用されて以来、広く普及することになります。
3点式シートベルトの開発の歴史はこちら
1975年には、日本を始め、多くの国で3点式シートベルトの設置義務が定められ、一般的な安全装備となりました。
エアバッグ
エアバッグは1967年にクライスラーの車に最初に搭載されました。
しかし、その後はなかなか普及せずに、日本車で初めてエアバッグが搭載されたのは、エアバッグの登場から20年後の1987年。
ホンダのレジェンドで採用されたのが最初でした。
3点式シートベルトもエアバッグも付いていない車に乗るなんて、今ではゾッとしてしまいますが、50年前は、これらの安全装備が付いていないことが当たり前だったのです。
車体構造も進化していた
また、車の安全性の進化は、安全装備だけではありません。
車体構造も衝突性能のために大きく進化しています。
クラッシャブルゾーンとセーフティーゾーン
現代の車は、クラッシャブルゾーン(エンジンルーム)とセーフティーゾーン(人が乗る部分)を明確に分け、衝突した時にクラッシャブルゾーンだけを潰し、衝突エネルギーを効率良く吸収してやることで、人が乗る部分は車体変形しないように設計されています。
ボンネットフード
さらに、現代の車は、エンジンルームが潰れた時に、ボンネットフードが真ん中で折れ曲がるように設計されています。
これは、ボンネットフードがフロントガラスを突き破って乗員に危害を加えないようにするとともに、衝突した対向車にボンネットフードが突き刺さらないようにするためです。
ハンドルやペダル
ハンドルやペダル部分まで、現代の車は、衝突した時の安全性を考えて設計されているのです。
衝突した時に、エンジンルームが潰れると、通常はハンドルが乗員の方に向かって後退してきます。
しかし、それでは危険なので、衝突した時にハンドルが後退しないような機構を設けているのです。
また、ブレーキペダルなども同様に、衝突した時に乗員の方に向かってこないように設計されています。
衝撃の実験結果
それでは、現代の車と50年前の車の衝突実験がどうなったか見てみましょう。
まず、衝突した瞬間に、2009年製のシボレーはボンネットフードが真ん中でしっかりと折れ曲がっています。
一方、1959年製のシボレーはボンネットフードが全く変形していません。
これでは、対向車にとって非常に危険です。
また、車内のカメラで見てみると、1959年製のシボレーはインパネ部分が大きく変形し、ハンドルが乗員の方に向かってきているのがわかります。
これは痛そうですね。
一方、2009年製シボレーは、エアバッグが膨らみ、しっかりと乗員を受け止めています。
これなら、硬いハンドルやインパネ部分に乗員がそのまま当たることはありません。
さらに、実験後の車体を見てみると、その差は一目瞭然。
2009年製のシボレーはエンジンルームはしっかりと潰れていますが、人が乗っている部分は全く変形していません。
一方1959年製のシボレーは、エンジンルームも人が乗る部分も関係無く、全体的に大きく変形しています。
乗員は潰された車体に挟まってしまっていますね。
足が痛そうです。
いかがでしたでしょうか。
この50年間で車の安全性がいかに向上したかということがよくわかったのではないでしょうか。
現在は、ぶつからない車や自動運転車など、そもそも事故を起こさないような技術が研究開発されています。
さらに50年後には、本当に死亡事故ゼロという時代が来るのかもしれませんね。
今後の車の進化に期待しましょう。
衝突実験の動画はこちら↓