最近とにかく話題になっているのが自動運転ですよね。
自分で運転しなくても、車が自動で目的地まで連れて行ってくれる。
そんなまるでSF映画のような世界が、近い将来実現しようとしています。
現在は様々な企業が自動運転に取り組んでいますが、実現するのに最も近いと言われているのがGoogleグーグル(実際の開発は関連会社のWaymoウェイモ)です。
Googleは元々自動運転システムだけでなく、車まで自社開発すると発表していましたが、先日、車の自社開発は諦め、ホンダと手を組むことを発表しました。(詳しくは東洋経済の記事をご参照下さい。)
Googleは得意なシステム開発に注力することで、自動運転の実現を加速させることにしたのだと考えられます。
では、どうして自動車会社でもないGoogle(Waymoウェイモ)が自動運転に取り組むのでしょうか?
Googleの収益体系は?
そもそも、Googleはインターネットサービスを提供する会社です。
その創設は1998年。
当時スタンフォード大学博士課程の学生だったLarry Pageと、Sergey Brinによって創設されました。
ミッション・ステートメントに「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を掲げていることは有名です。
現在はGoogle検索はもちろんのこと、Gmail、Googleマップ、YouTubeなど、様々なサービスを提供しています。
きっと、多くの人がそのどれかを必ず使っているのではないでしょうか。
そんなGoogleが、一体何で儲けているのかみなさんはご存知ですか?
実はGoogleの収益体系は実に96%が広告収入です。
Googleが広告を変えた?
Googleはこれまでの広告の形を大きく変えました。
これまでの一般的な広告は、テレビCMや新聞広告、街中の看板など、広く多くの人に届く形態でした。
その分、広告単価は高くなるため、資金力のある大企業にしかなかなか広告をうつ事が出来ません。
また、このような広告形態では、その広告の内容について興味の無い人にまで届くため、無駄が多いという欠点もあります。
一方、Googleの広告は、その広告の内容に興味がある人を見極めることで、ターゲットに向けてピンポイントで広告を表示させることが出来るのです。
そのため、無駄が無く、広告単価も安くなるのです。
では、Googleはどのように広告内容に興味がある人を見極めているのでしょうか?
その方法は主に3つあります。
キーワードターゲット
これはGoogleユーザーが検索したキーワードと、広告の出稿者が登録したキーワードがマッチすると表示されるもの。いわゆる検索連動型広告と呼ばれるものです。
コンテンツターゲット
広告出稿者が登録したキーワードと近いコンテンツを持つサイトに表示されるものです。
例えば、写真に関するウェブページや、カメラ愛好家のサイトに、デジタルカメラについての広告が掲載される等といったものです。
プレースメントターゲット
これは、広告出稿者が特にキーワードを設定せず、インターネット上から掲載したいサイトと場所を個別に選択でして表示させるもの。
例えば、傘を扱うお店が、天気予報や気象に関連する情報のサイトにのみ広告を表示したい、などという場合に、サイトとその場所を広告出稿者が選ぶことができるのです。
このような方法で、広告内容に興味がありそうな人にピンポイントで広告を出す。
これがGoogleの強さなのです。
Googleが実現したい未来とは?
では、最初の話題に戻ります。
どうしてGoogleは自動運転に取り組むのでしょうか?
Googleは表向きには、世の中から悲惨な交通事故を無くすためとか、無駄な燃料を使わないようにするためとか、人々の時間を有効に使えるようにするためとか、色々言っています。
それも事実だとは思いますが、これまで書いてきたように、Googleのビジネス体系を考えてみると、その本当の理由が見えてくるのではないでしょうか?
Googleの収益の96%が広告によるものです。
そして、Googleの広告の強みは、ピンポイントにターゲットを見極めて広告を出せることです。
Googleが人々の行動を監視する!?
もし、Googleが人々の動きを把握できたらどうなるでしょうか?
例えば、あなたが将来Googleの自動運転の車で通勤するとします。
その場合、きっと毎日同じ道を通るはずです。
もしかしたら、通勤途中にあるコンビニで毎日買い物をするかもしれません。
もし、そんなあなたの行動情報を車を通してGoogleが全てストックしていたらどうでしょうか?
もしかしたら、あなたが夜家に帰ってパソコンを開くと、通勤途中にある別のコンビニの広告が表示されるようになるかもしれません。
もしくは、通勤途中にあるマンションの広告が表示されるかもしれません。
つまり、このように人々の行動を把握することで、「地理」という面でターゲットを絞り、ピンポイントで広告をうつ。
Googleが自動運転に取り組む理由はここにあります。
私たちの行動が全てGoogleに把握されてしまうなんて、一見すると恐ろしい気もします。
Googleの自動運転技術では、車両に搭載したセンサーを使い、あらかじめ作った3次元の地図情報と走行中に収集する周囲の情報を照合することで自車の位置を推定し、最適な走行経路を計算します。
つまり、車が常にネットワークに繋がっている必要があるので、当然車の動きは全てGoogleがデータベースに記録することができるのです。
みなさんはこの事実をどう思うでしょうか?
自動運転が実現することを喜ぶだけではなく、このようなGoogleの思惑についてしっかりと理解しておくことも非常に大事なことだと思います。
2020年4月27日 追記
先日、グーグルの自動運転車開発部門「ウェイモ(Waymo)」が、第5世代の自動運転システムを発表しました。
現在、グーグルの自動運転システムは、ジャガーのEV(電気自動車)「I-PACE(アイペイス)」をベースに開発されていますが、自動運転システムの第5世代では、かなりシステムの小型化が進みました。
外観を見ると、ボディの外側に張り出したカメラや、ルーフの上に乗ったセンサーがかなりの大きさで、少し違和感を持ちますが、先代までそれらを制御するためのコンピューターがラゲッジルーム全体に置かれており、全く荷物が載せられない状態だったのが、第5世代では、コンピューターはラゲッジの下側に配置されており、通常の車と同じように荷物がラゲッジルームに載せられるようになりました。
着々と実用化に向けて開発が進んでいますね。