根強い人気を誇っているマツダRX-7ですが、そんなRX-7の特徴の一つに、リトラクタブル・ヘッドライトがあります。
リトラクタブル・ヘッドライトとは、普段はヘッドライトがボンネット内部に格納されており、ライトをつけるときのみ外部に展開される構造のものです。
しかし、近年の車には、リトラクタブル・ヘッドライトを搭載している車は見当たりません。
一体どうしてでしょうか?
今日は、リトラクタブル・ヘッドライトが消えてしまった理由を紐解いていきたいと思います。
どうしてリトラクタブル・ヘッドライトが必要だったのか?
最初にリトラクタブル・ヘッドライトが採用された背景から見ていきましょう。
リトラクタブル・ヘッドライトが採用され始めたのは、1967年頃のまさにスーパーカーブームのころ。
日本では、トヨタ 2000GTで採用されたのを皮切りに、マツダ サバンナRX-7、ホンダ アコード、トヨタ カローラⅡ、日産180、日産シルビアなど幅広く採用されるようになります。
ここまで幅広くリトラクタブル・ヘッドライトが採用されたのはどうしてなのでしょうか?
実はその背景に、ヘッドライトに関する法律の存在があるのです。
ヘッドライトの高さは法律で規定されている?
実は、多くの国で、ヘッドライトの高さが法律で規定されています。
例えば、現在日本では、ヘッドライトは地面からの高さが、下部が50cm以上、上部が120cm以下と決められているのです。
しかし、リトラクタブル・ヘッドライトが多く採用された当時、空気抵抗の低減とデザイン性向上を目的に、ボンネットフードを低くすることがトレンドになっていました。
ボンネットフードが低くなると、当然ヘッドライトの位置が法律で定められている範囲よりも下になってしまいます。
そこで、低いボンネットフードとヘッドライト高さを両立させるために登場したのが、リトラクタブル・ヘッドライトなのです。
リトラクタブル・ヘッドライトのデメリット
しかし、リトラクタブル・ヘッドライトには、いくつかデメリットもありました。
車前側重量の増加
リトラクタブル・ヘッドライト機構には、モーターなど電子機器が追加で必要になります。
よって、その分車前側が重くなってしまうのです。
車の前側が重くなることは、操縦安定性を悪化させる原因となってしまいます。
空気抵抗の増大
また、リトラクタブル・ヘッドライトを展開した際には、空気抵抗が悪化してしまい、燃費に影響が出ます。
安全面の問題
さらに、リトラクタブル・ヘッドライトはボンネットフード上に硬いライト部分が突出するため、対人事故を起こした際、被害者に重度な傷害を与えてしまう恐れがあります。
歩行者保護規制の導入とともに消えたリトラクタブル・ヘッドライト
以前までは、これらのデメリットを抱えながらもリトラクタブル・ヘッドライトを採用するメリットがあったのですが、以下の記事でもご紹介したように、歩行者保護規制の導入とともに、ボンネットフードを高く設計する必要が出てきたことで、わざわざデメリットの多いリトラクタブル・ヘッドライトを採用する必要性が無くなってしまったのです。
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デメリットの多いリトラクタブル・ヘッドライトではありますが、もうこれからの車に採用されることが無いと思うと、少し寂しい気もするのは私だけではないのではないでしょうか。
今改めて見ても、RX-7やシルビアはかっこいいと思います。
やっぱり昔のスポーツカーのデザインにリトラクタブル・ヘッドライトは欠かせませんよね。
まとめ
・ヘッドライトの位置を規制する法律がある
・法律で定められている位置にヘッドライトを設定するためにリトラクタブルヘッドライトが採用された。
・歩行者保護規制の導入とともに、ボンネットフードを高く設計する必要がでてきたため、リトラクタブル・ヘッドライトを設定する必要性がなくなった。