これがNSXの生産現場!最新技術を導入したホンダの工場がすごい

メーカーの戦略
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現在アメリカのオハイオ州で生産されているホンダのスーパースポーツカーNSX。

ホンダは、NSXの生産を開始するにあたって、12個もの生産工程や生産ツールに関わる特許を取得し、それを新しい工場に適応したと言います。

そこで今日は、そんな新型NSXの生産工場をご紹介したいと思います。
一体どんな新技術をもってしてNSXは生産されているのでしょうか。

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NSX専用工場

NSXが生産されるのは、アメリカオハイオ州の中心部に建設された、PMC(Performance Manufacturing Center)と呼ばれるNSX専用の工場です。

この工場で1日に生産されるNSXの台数は、なんとたったの8台とのこと。
近くにあるホンダのMarysville工場では、1日に800台のAccordが生産されているので、それと比べるとその少なさがよく分かると思います。

ブランドを背負うスーパーカーだけに、1台1台丁寧に生産されているようです。
それでは、そんな少量生産のNSXの生産工程を順番に見ていきましょう。

MIG溶接

通常車の車体部品の多くは鉄で作られていますが、NSXは軽量化のために多くの車体部品がアルミニウムで作られます。

部品同士を繋げるために、通常は溶接をしますが、アルミニウムは鉄と比べると酸化し易い性質があり、溶接をする時にその酸化被膜が原因でうまく部品同士をくっつけることができません。
そこで、NSXの工場では、MIG溶接(不活性ガス溶接)という、大気と遮断された状態で溶接作業を行う手法を取り入れています。
また、熱による変形で精度がでないことを避けるために、高速で溶接作業ができる上に、何箇所か同時に溶接ができるような機械を開発し、取り入れているようです。

溶接点検

次に、溶接された部品を人が目視で確認する工程があります。
ここでは、アルミニウム部品の溶接が適切に行われたかを1つ1つチェックします。
もし、少しでもしっかりと溶接されていない部品があれば、ラインを止め、前工程に差戻すといいます。

かなり厳重ですね。

ローラーヘミング

ボンネットフードや車体パネル部品など、材料のパネルを特別な機械によって折り曲げることで成形していきます。
ホンダはこの機械をアメリカの工場で初めて採用しました。

車体組み立て

全ての車体部品を溶接して、アルミニウム部品と超高強度スチールで成形された部品をボルトで組み上げていきます。
ここまで組み立てるのに、約10時間もの時間がかかります。

クイックチェック

組み上げた車体が正確に作られているか、デジタル計測器でチェックを行います。
このNSXの新工場では、最新の3Dカメラを用いたチェックを行っています。

ベースコーティング

ここまで完成した車台部分は、まず油やその他のゴミを除去するために、苛性クレンザーの槽に入れられます。
その後、170℃のジルコニウム槽に50分浸し、フッ化ジルコン酸被膜を部品の表面に処理します。
これによって、アルミニウムボディの耐食性を高めます。

シーリング

次に、キャビン内に水などが入らないように、表面処理された車台を特殊なジグに取り付け、部品同士の隙間をシーリングします。
この工程も、自動ではなく、人の手で一つ一つ丁寧に行われています。

その後、約30分間加熱処理されます。

シーリングチェック

先ほど行なったシーリングをチェックします。
ここでは、特殊な光を当てることで、シーリングした部分が光るので、この光を見てしっかりとシーリングできているか人が目で1つ1つチェックしていきます。

ボディーペイント

車体の外装部分を塗装します。
ここの工程は、通常の工場とあまり変わらず、ロボットによって塗装されています。
塗装作業は、最大で5回繰り返し行なわれ、5層のコーティングがされることになります。

最終組み立て

外装部品が塗装されている間に、車台は14時間かけて、様々な部品が組み付けられることになります。
これらの多くの工程が機械によって自動で行なわれていると言います。

かなり清潔感のある組み立てラインですね。
ただ、通常の車では1時間ほどの組み付けの工程で14時間もかかるというのは驚きです。

エンジン搭載

エンジンに対して車体をゆっくりと下降させ、エンジンを取り付けます。

アライメント

ここまできたらほぼ完成です。
あとは、しっかりとアライメントをとります。

通常アライメントをとる場合、ホイールのリム部分を掴むような器具が使用されますが、そうするとホイールが多少傷ついてしまうことがあるため、ホンダは、ホイールの中心部分のみで固定できる器具を新たに開発しました。

Dyno Test

エンジンや速度計などが正しく作動するかを実際に完成した車を走らせてチェックします。
また、それだけでなく、ホンダはブレーキやアクセルの踏みごたえを正確に計測し、チェックできる機械を新たに開発し、その計測器によって、ペダルを操作した時の足の感覚をチェックすると言います。

外観チェック

高圧の水をボディに当てることで、塗装のチェックと水漏れなどのチェックを行います。
これが最終チェックとなり、いよいよディーラーに車が届けられます。
是非工場の様子は動画でもチェックしてみてください。

通常の車の工場とは違い、とてもクリーンなのが印象的でした。
また、新型NSXのために様々な新技術を開発しているところからも、ホンダのNSXへの熱の入れようがよくわかりますね。

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