どうしてホンダは「ホンダジェット」を作るのか?その本当の理由

メーカーの戦略
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2015年6月に、ホンダ創設者である本田宗一郎氏の夢を乗せ、ホンダジェット(HondaJet)の量産1号機が米国での初飛行に成功しました。

ホンダといえばバイクや自動車のみでなく、人型ロボットのASIMOなどをも開発する日本を代表する企業です。
そんなホンダがとうとう小型飛行機事業に参入したということは、皆さんもよくご存知だと思います。

ただ、そこでふと疑問に思うことは、「莫大な開発費を投じて飛行機を作って、会社としては儲かるの?」ということ。

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ホンダジェットってビジネスとして成り立っているのか?

ホンダジェットの総開発費は1500億円ともいわれてます。
そして、ホンダジェット1機の値段は約5億円。

当然ビジネスですから、売れなければ意味がありません。

しかし、ジャンボジェットなどの大型旅客機はよく目にするものの、ホンダジェットのような小型飛行機ってあまり見た事ありませんよね。

そもそも5億円もする飛行機なんて相当な大富豪にしか買えませんし。
けど、世の中にそんな大富豪なんてたくさんいないし・・・。

実はビジネスとして成り立ってないんじゃないの?
と心配になる人もいるのではないでしょうか?

しかし、そんな心配をする必要はありません。

世界中を飛び回っている「ビジネスジェット」

ホンダジェットのような小型飛行機、実は世界では、多くの企業がビジネスジェット(社用ジェット)として所有しているのです。

その数は4万5千機以上。
これは私たちが普段使っている旅客機の数の1.5倍にもなります。(参照:マイナビニュース

日本では、ビジネスジェットというと、ラグジュアリーアイテムとして見られがちですが、日本を一歩外に出ると、ビジネスジェットはビジネスパーソンにとって欠かす事の出来ないビジネスツールなのです。

こちらは、国別のビジネスジェット保有数をしめしていますが、日本は85機なのに対して、アメリカはその150倍以上の13,133機。

また、年間増加量は1000機とも言われています。

1機の価格がだいたい5億円ですから、市場規模は約5000億円。
これは、国内のゲーム市場や、ペット市場とほぼ同じ規模になります。

この大きなビジネスジェット市場にホンダは参入したのです。

ホンダはこの市場でシェア15%を目指しています。
当然ビジネスとして成立しますよね。

なぜ日本でビジネスジェットは普及しないのか?

世界でこんなにも使われているビジネスジェット、どうして日本ではあまり使われないのでしょうか?

その1つは空港の数でしょう。
アメリカには15079ヶ所に空港があるのに対して、日本の空港の数はたった176ヶ所ですから。
日本では、きっと多くの人が、わざわざ遠くの空港に行くのなら新幹線に乗ると言うと思います。

また、維持費も大きく違います。
小型飛行機の駐機代は、アメリカは約$300(約3万円)なのに対して日本では約16万円です。

まあ、とにかく、日本ではなかなかお目にかかれない小型飛行機も、世界ではたくさん飛んでるわけです。

ビジネスとして成功したホンダジェット

ホンダジェットの販売は、現在非常に好調です。
2019年上半期、「ホンダジェット」は、小型ビジネスジェット機のカテゴリーで世界一のデリバリー数を記録。
現在、65か国で130機以上が運用されています。

その市場はアメリカ、日本、欧州と拡大し、いよいよ2019年8月に、中国民用航空局から型式証明を取得しました。

現在、週1機のペースで納品しており、需要が供給を上回っている状況。
今のペースだと2020年いっぱいで、ホンダジェットの総開発費1500億円の元が取れる可能性があるようです。

冒頭で書いたような心配は無用でした。

創業者 本田宗一郎の夢を実現させ、それをしっかりと事業として成功させるところは、素晴らしいですね。
さすが、日本が誇るべき企業「ホンダ」です。

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