みなさんは、インドで今最もシェアを獲っている自動車メーカーがどこかご存知でしょうか?
ちなみに、これが現在のインドでの自動車シェアです。
ジャガー・ランドローバーを傘下に持つインドの巨大自動車メーカー「Tata」やヒュンダイ、トヨタを抑え、圧倒的なシェアを誇る日本メーカーがあるのです。
なんと、その日本メーカーは、スズキです。
インドでは、スズキの子会社である、マルチ・スズキが38%という圧倒的なシェアを持っているのです。
果たして、10億人という超巨大な人口を抱えるインドで、マルチ・スズキはどのようにして成功を収めることができたのでしょうか?
今日は、イギリスの自動車専門誌「AUTO CAR」がそんなスズキの強さの秘密を特集していたので、その内容をご紹介したいと思います。
なぜ?スズキはインドで成功したのか?
インドでは、既に3000を超える数のスズキディーラーが存在し、工場では、16秒に1台のペースでスズキの車が生産されています。
一方、ヨーロッパでのスズキのシェアは1.3%。
それにも関わらず、どうしてインドでは38%という驚異的なシェアを確保できているのでしょうか?
そこには、いくつか理由がありました。
理由① 真っ先にインド市場に参入した
スズキがインド市場に参入したのは、当時まだインドの自動車市場が自由化される前の1980年代にまで遡ります。
インドの現地メーカー「マルチ」に出資する形で、スズキはインド市場に参入しました。
当時は、まだインドの自動車市場の規模もとても小さく、スズキのインド参入は日本メーカーの中では異色の決断でした。
その後、インドの自動車市場が本格的に自由化されたのは1991年。
この自由化を機に、様々な自動車メーカーが参入してくるようになります。
しかし、その頃には、スズキの「マルチ・800」(日本名:アルト)がインド市場を席巻しており、すでにスズキは確固たる地位をものにしていました。
アルトは現在もインドで最も売れているマルチ・スズキの車の1つです。
理由② インド市場に合ったラインナップ
みなさんもご存知のように、スズキといえば、軽自動車です。
実は、インドではこの軽自動車サイズの車が非常に人気なのです。
インドでは日本と同様に全長4m以下の車は税制優遇を受けることができます。
また、現在のインドでは、車を購入できる人はまだごくわずかです。
そんな経済状況の場合は、価格の安さというのが車を購入する際に非常に重要なファクターとなります。
従って、スズキが展開する安価な小型車というのが、インド市場においては、最も求められているのです。
理由③ 現地生産によるメリット
また、スズキは早くからマルチと提携して現地にいくつかの工場を設立しました。
当然インド国内で生産される車には輸入関税は課されません。
そのため、価格という面で、輸入車を販売する競合他社に対して、アドバンテージを持つことができたのです。
これらの理由から、現在インドでは、スズキは自動車メーカーとして圧倒的なシェアを誇っています。
今後経済成長が大きく見込めるインドで、このような地位を確立できていることは、スズキにとっては非常に大きいのではないでしょうか。
ただ、現在はヒュンダイを始め、様々な自動車メーカーが工場を設立し、インドでの現地生産を開始しています。
今後、スズキがインドでこれまでの地位を確保し続けられるのか、注目していきたいものです。
参考:AUTO CAR