世界の様々な車を紹介するコーナー。
今日は、Honda e(ホンダ イー)を紹介します。
基本情報
Honda e(ホンダ イー)は、ホンダが主に日本と欧州で販売している電気自動車です。
現在は、埼玉県の寄居工場で生産されています。
現在のモデルがHonda e(ホンダ イー)としては初代となります。
日本では、2020年10月30日に発売されました。
第1期の注文受付は2020年8月27日から開始されましたが、発売日の10月30日を前に注文受付数が販売予定台数に達したため、注文を一時停止。
その後、第2期注文受付を11月5日より開始すると発表されました。
第一期、第二期ともに販売予定台数は数百台程度とのことです。
Honda e(ホンダ イー) が世界で初めて公開されたのは、2017年のフランクフルトモーターショー。
当時は、コンセプトカー「Uerban EV Concept」として発表されました。
その後、量産仕様のHonda e(ホンダ イー)として、2019年のフランクフルトモーターショー、東京モーターショーそれぞれで発表されています。
なお、Honda e(ホンダ イー) が発表された2019年10月開催の東京モーターショーの現場レポートはこちら。
併せてご覧下さい。
コンセプトカーとして発表された時は、3ドアだったのですが、実際に発売された量産仕様は5ドアとなっています。
ちなみに、ホンダは欧州のCO2規制に合わせて2025年までに、欧州で販売する全ての車を電動化することをHonda e(ホンダ イー) の発売とともにアナウンスしています。
スペック
パワートレイン
Honda e(ホンダ イー)のパワートレインは、モーターですが、ノーマルグレードと上位グレードで出力が違う2種類のモーターを持ちます。
また、モーターはリアに配置され、駆動は後輪駆動のRR方式の車ということになります。
ホンダにとってRR車というのは初めての試みですね。
また、動力用バッテリーはリチウムイオン電池で、床下に搭載されています。
それでは、それぞれを詳しく見ていきましょう。
モーター
Honda e(ホンダ イー)のモーター型式はMCF5。
最大トルクは315Nmです。
最高出力はノーマルグレードの「Honda e」は100kWで、上位グレードの「Honda e Advance」は113kW。
最高回転数は、11,920rpmです。
なお、モーター冷却は油冷で、オイルポンプを搭載しています。
スペックとしては、エンジンで考えるとV6 3.0L並なので十分に感じますが、日産リーフはノーマルグレードの最大トルクが320Nm、最高出力は110kWで、上位グレードの最大トルクは340Nm、最高出力は160kWなので、リーフと比べるとややスペックが劣るようです。
動力用バッテリー
Honda e(ホンダ イー)のバッテリーは、パナソニック製のリチウムイオン電池。
それを全部で192個搭載し、その容量は35.5kWhとなります。
総電圧は、355.2V。
日産リーフのバッテリー容量がノーマルグレードで40kWh、上位グレードが62kWhなので、バッテリーもリーフに対して劣りますね。
車両サイズ
Honda e(ホンダ イー)の車両サイズは、全長:3,895mm、全幅:1,750mm、全高:1,510mm、ホイールベース:2,530mmです。
ちなみに、日産リーフの車両サイズは、全長:4,480mm、全幅:1,790mm、全高:1,560mm、ホイールベース:2700mmなので、日産リーフよりもかなりコンパクトな車ですね。
フィットよりもサイズは小さい車です。
車両重量は、1,510〜1,540kg。
最低地上高は、145mmです。
ボディカラー
ボディカラーは全7色で、全てルーフはブラックのため、「クリスタルブラック・パール」以外のボディカラーを選択した場合は、ツートーンとなります。
サスペンション
Honda e(ホンダ イー)のサスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがトーションビーム式です。
最初回転半径は4.3m。
最小回転半径は軽自動車並みの小ささですね。
実際、ホンダN-BOXが4.5mなので、N-BOXよりも小回りが効くということになります。
モーターをリアに搭載したことによって、フロント側には空間として余裕が生まれ、この最小回転半径が実現したようです。
前輪の切角は、内輪側が約50度、外輪側が約40度となっています。
タイヤサイズは、ノーマルグレードが185/60R16で、上位グレードが205/45R17です。
航続距離
Honda e(ホンダ イー)の航続距離は、ノーマルグレードの「Honda e」がWLTCモードで283km、JC08モードで308km。
上位グレードの「Honda e Advance」はWLTCモードで259km、JC08モードで274kmです。
日産リーフの場合、ノーマルグレードがWLTCモードで322km、JC08モードで400km。
上位グレードがWLTCモードで458km、JC08モードで570kmなので、リーフと比べてしまうとかなり見劣りしますね。
ただ、こちらの記事によると、Honda eの開発責任者である本田技術研究所商品企画室 LPL(ラージプロジェクトリーダー)主任研究員の人見康平さんは、航続距離について以下のようにコメントしています。
「EVとしてのあり方を提言したかった。一充電の航続距離は220kmでいいと割り切ったところから、デザインやインテリア、機能などが決まっていきました。
(中略)
(航続距離を欲張って大容量電池搭載のEVばかりを並べるのは)本当はスマホで十分なユーザーにタブレットを押しつけるようなもの」
つまりは、あえてリーフなどとは航続距離の長さで勝負をしないと割り切って開発されたということのようです。
価格
Honda e(ホンダ イー)の価格は、ベースグレードの「Honda e」が4,510,000円からで、上位グレードの「Honda e Advance」が4,950,000円からです。
日産リーフの価格が3,326,400円から4,998,400円なので、価格はリーフの上位グレードと同じくらいの価格ですね。
特徴
Honda e(ホンダ イー)の特徴をいくつか順番に見ていきましょう。
可愛らしいエクステリアデザイン
Honda e(ホンダ イー)の特徴として真っ先に上げたいのが、その可愛らしい見た目です。
初代シビックをオマージュしたようなそのデザインは、新しいのになんとなく懐かしさを感じます。
ヘッドランプとテールランプは、丸い形が特徴的で、LEDデイタイムランニングランプなどの機能を持たせています。
またウインカーは、ライト内をリング状に光らせます。
このウインカー、意外にも被視認性が抜群に高いようです。
また、フロント、リアともにグリルはシンプルな形状。
ブラックアウトされたグリルの中には、ヘッドライトやレーダーのリッド、マルチビューカメラシステムなどの機能部品が集約され、すっきりとしたデザインとなっています。
このデザインは国内外で高い評価を得ており、世界的に権威のあるデザイン賞の1つ「レッド・ドット・デザイン賞」の最高賞「ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」を獲得しました。
このアワード創設者のピーター・ゼック氏はHonda e(ホンダ イー)について「すべてがハイクオリティである」と語っています。
先進的なインテリア
Honda e(ホンダ イー)のインテリアは他の車にない、かなりユニークなものになっています。
まず車内に乗り込んで真っ先に目に飛び込むのが、インストルメンタルパネルに設定された横長の液晶モニターです。
メーター部分には8.8インチの液晶モニターが設定され。
その横には、12.3インチの液晶モニターが左右に2つ配置されています。
さらにその外側にはサイドカメラミラーの6インチモニターが設定されているので、車内幅の目一杯にモニターが敷き詰められているように見えます。
真ん中に設定された12.3インチの2枚の液晶モニターには、カーナビ情報をはじめ各種アプリが表示できます。
また、運転席側ではナビのルート検索を表示しながら、一方で助手席側では好きな曲を探すなど、1つの画面では不可能だった2人での同時操作が可能となりました。
内容によっては左右の画面間で表示内容を移動させることも可能なので、例えば、主に右側はドライバー用、左側は同乗者用として使いながら、同乗者がタッチパネル操作して得た情報をドライバー側へと移動させるといった使い方ができます。
センターコンソールは、押しボタン式のシフトセレクターやドライビングモード切り替えスイッチ、パーキングブレーキのスイッチなどが並んでいますが、非常にシンプルなデザインとなっています。
また、背も高くなく、シートクッション上面から少し頭が出るくらいなので、前席周辺が非常に広く見えます。
サイドミラーレス
Honda e(ホンダ イー)は、サイドミラーが無く、カメラで捉えた映像が室内のモニターに映し出される仕組みとなっています。
最近では、レクサスが導入していますが、レクサスはオプション設定なのに対して、Honda e(ホンダ イー)はこれが標準設定となっています。
液晶画面が高精細なのに加えて、映し出される映像に一切タイムラグは無く、非常に見易いものになっているようです。
さらに通常の車のように、ドアミラーがつくる死角がないので、運転席から斜め前方の視界が良いというメリットもあります。
また、上位グレードの「Honda e Advance」には、センターカメラミラーシステムが設定されます。
このセンターカメラミラーシステムも、サイドミラーと同様に、カメラで捉えた映像が室内の通常ルームミラーがあるところに映し出されます。
荷物や乗員などで後方の視界がふさがっていても、テールゲートに装着されたカメラの映像で確認することができるので便利ですね。
減速度が操れるシングルペダルコントロール
アクセルペダルで加速も減速も行えるシングルペダル操作は日産リーフにも採用されていますが、Honda e(ホンダ イー)のシングルペダルシステムの特徴は、その減速度を変更できるところです。
ステアリングに減速セレクタが付いていて、手元でアクセルオフ時の減速度を4段階に変更することができます。
旋回や右左折の手前、降坂路、前走車との車間をあけたい時など、シーン毎に好みにあった減速度に設定することができるので、さらに運転がし易くなりそうですね。
まとめ
本日は、ホンダの新しい電気自動車Honda e(ホンダ イー)をご紹介しました。
最初は、どうしても日産リーフとスペックを比べてしまって、航続距離にしても、モーターパワーにしても物足りなさを感じてしまいましたが、その先進的なインテリアデザインを見ると、リーフとは全く違った魅力を持った車なのだということが分かりました。
特に、前面一面に貼られたモニターは、かなりインパクトがあります。
使い勝手も良さそうですし、一緒に乗っている同乗者も楽しめるところが良いですね。
価格はリーフの上位グレードと同じくらいなので、やや高い気がしますが、他に無い車を求めている方には、それくらいの価値もあるのではないでしょうか。
是非気になる方はチェックしてみて下さい。