世界の様々な車を紹介するコーナー。
今日は、ホンダのステップワゴンを紹介します。
基本情報
ステップワゴンは、日本で製造・販売されている5ナンバーサイズのミニバンです。
現行モデルは、5代目で、2015年4月に発売されました。
同クラスのミニバンとしては、日産セレナ、トヨタ ヴォクシー、ノアがありますが、販売台数で比較をすると、セレナ、ヴォクシー、ノアに次いで4番手という位置付けになります。
歴代モデル
初代ステップワゴンは、1996年に発売されました。
当時、日本のワンボックス型乗用車は、商用車をベースとしたキャブオーバータイプのFRレイアウトが一般的でしたが、ステップワゴンはミニバンとして初めてFFレイアウトを採用。
これによって、低床を可能とし、今やミニバンにとって最も重要な広い室内空間を実現しました。
その後、競合メーカー各社から、同レイアウトのミニバンが発売されることになります。
2代目は、2001年に発売されました。
コンセプトは初代をキープしたまま、コラムシフトからインパネシフトに変更されたり、スライドドアのステップが45mm低床化されるなど、改善が図られました。
3代目は、2005年に発売されました。
プラットフォームを一新して、燃料タンクを薄型化したことによって、2代目に比べて60mmもの低床化を実現しました。
さらに、全高が75mm低くなり、これによって、操縦安定性能が向上しています。
また、エンジンルームの小型化によって、ショートノーズとなったのも特徴です。
4代目は、2009年に発売されました。
「みんなの楽」=“皆楽”をキーワードに、3代目から採用されている低床・低重心パッケージをベースに「家族が楽しく、楽に移動できる車」を目指して開発されました。
3代目に比べて全長を50mm、全高を45mmそれぞれ延長し、室内空間を拡大しています。
また、3列目はリアフロアの構造を工夫することで簡単に床下に格納できる「3列目床下格納シート」が採用されました。
2015年に、現行モデルと入れ替わる形で販売終了となっています。
スペック
パワートレイン
ホンダ ステップワゴンのパワートレインは、ガソリン車とハイブリッド車が選べます。
また、ガソリン車は2WDと4WD、7人乗りと8人乗りがそれぞれ選べます。
ハイブリッド車は2WD仕様のみ、7人乗りのみの設定です。
ガソリン車
ガソリン車のエンジンは、1.5L直列4気筒DOHC直噴ターボエンジンです。
エンジン型式は、L15B。
元々、3代目フィットに搭載されたエンジンにターボチャージャーを組み合わせたエンジンです。
最大トルクは203Nm、最高出力は110kW。
組み合わされるトランスミッションはCVTです。
ハイブリッド車
ハイブリッド車のエンジンもガソリン車と同じく、1.5L直列4気筒DOHC直噴ターボエンジンです。
エンジン型式はLFA。
アコードハイブリッドに搭載されているエンジンと同じですね。
このエンジンは、吸気カムシャフトにVTECと電動VTCを組合せたi-VTECが装着され、さらにロッカーアームやクランクシャフトなどが大幅に軽量化され、水冷EGRの採用などと合わせて、熱効率の向上や冷却損失の低減が図られています。
また、従来ベルトなどで駆動していた冷却水用ポンプやエアコン用コンプレッサーなども電動化され、補機ベルトが不要になったことによるフリクション低減やエンジン全長の短縮も図られているのが特徴です。
最大トルクは175Nm、最高出力は107kW。
なお、組み合わされるモーターは、型式はH4。
最大トルクは315Nm、最高出力は135kWです。
また、駆動用のバッテリーは、 リチウムイオン電池を72個、フロント席の下に搭載されています。
車両サイズ
ホンダ ステップワゴンの車両サイズは、全長:4,690mm(SPADAは4,760mm)、全幅:1,695mm、全高:1,840mm(4WDは1,855mm)、ホイールベース:2,890mmです。
トヨタ ヴォクシーの車両サイズが、全長:4,710mm、全幅:1,735mm、全高:1,825mm、ホイールベース:2,850mmで、日産セレナの車両サイズは、全長:4,685mm、全幅:1,695mm、全高:1,875mm、ホイールベース:2,860mmなので、ステップワゴンはヴォクシーよりも若干小さく、セレナとほとんど同じ大きさですね。
最低地上高は、155mm(4WDは150mm)。
車両重量は、ガソリンが1,660〜1,770kg。
ハイブリッド車は1,790〜1,820kgです。
シャシー
ホンダ ステップワゴンのサスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式。
リアは、2WDがトーションビーム式で、4WDはド・ディオン式です。
最小回転半径は、5.4m。
燃費
ホンダ ステップワゴンの燃費は、ガソリン車の2WDが、WLTCモードで13.6km/L、JC08モードで15.8km/L。
4WDは、WLTCモードで13.0km/L、JC08モードで15.0〜15.4km/L。
ハイブリッド車が、WLTCモードで20.0km/L、JC08モードで25.0km/Lです。
競合の日産セレナの燃費は、ガソリン車の2WDがJC08モードで16.6km/L。
ガソリン車4WDが15.0km/L。
e-POWERが26.2km/Lなので、ガソリン車の2WDとハイブリッドは、若干セレナに負けるようです。
ガソリン車の4WDはセレナとほとんど同じですね。
価格
ホンダ ステップワゴンの価格は、ガソリン車が2,714,800〜3,599,200円。
ハイブリッド車は3,427,600円〜4,094,200円です。
ガソリン車とハイブリッド車の価格差は、約60〜70万円ですね。
また、競合となる日産セレナは、ガソリン車が2,576,200円〜3,353,900円で、e-POWERが2,997,500円〜3,532,100円なので、価格はステップワゴンの方が20〜50万円ほど高いんですね。
特徴
続いて、ホンダ ステップワゴンの特徴を順番に見ていきましょう。
2つのグレードと2つの顔
ステップワゴンには、通常のステップワゴンと、SPADA(スパーダ)という2つのグレードがあります。
このグレードによって、フロントフェイスが異なります。
また、通常のステップワゴンは、6つのボディカラーが選べます。
その中のブルーホライゾン・メタリックは、通常のステップワゴン専用色となっています。
一方で、SPADA(スパーダ)は、8つのボディカラーが選べます。
その中で、オブシダンブルー・パールはSPADA(スパーダ)専用色、プレミアムスパイスパープル・パールはSPADA(スパーダ)ガソリン車専用色、フォレストグリーン・パールはSPADA(スパーダ)ハイブリッド車専用色となっています。
床下格納3列目シート
セレナやヴォクシーなど多くのミニバンは、3列目シートを跳ね上げて収納する構造になっていますが、ステップワゴンの3列目シートは、床下に格納する構造となっています。
これによって、3列目シートを格納した時に後方視界が妨げられることもありません。
さらに、シートを格納した時も両サイドの上までしっかりと荷室空間として有効活用できます。
また、セレナやヴォクシーなど他のミニバンと同様に、7人乗りと8人乗り仕様がありますが、どちらも様々なシートアレンジができ、積載する荷物のサイズや形によって最適なレイアウトをとることができます。
①4人乗車+荷室最大
荷物を積みながら4人乗車が可能
②荷室最大(2人乗車)
2人乗車時は、荷室を最大化できる
③片側荷室
シートを片側のみにすれば、自転車もそのまま積めて、送り迎えにも便利
④片側フラット(2列、3列)
4人乗車しながら汚したくない長い荷物を積むことができる
⑤片側フラット(全列)
助手席まで倒せば、3人乗車したままサーフボードも積むことが可能
⑥2列目、3列目フルフラット
2列目と3列目を倒せば、車中泊も可能
⑦1列目、2列目フルフラット
1列目と2列目を倒せば、荷物を積みながらの車中泊が可能
わくわくゲート
ホンダ ステップワゴンの3つ目の特徴は、わくわくゲートです。
このわくわくゲートは、横にも縦にも開くことができるバックドア。
通常、背の高いミニバンのバックドアを開けようとすると、後ろ側に広いスペースを要します。
ただ、このわくわくゲートなら、横に開くことができるので、後方にたった640mmのスペースさえあれば開くことができます。
狭いスーパーの駐車場などで重宝しそうですね。
また、通常のミニバンの場合、3列目シートに乗り降りする時には、どうしても2列目に座っている人に1度どいてもらわないといけません。
ただ、このわくわくゲートなら、バックドアを横に開いて乗り降りができるので、2列目の人の邪魔をせずに、スムーズに乗り降りができます。
一方で、この一見便利そうなわくわくゲートですが、デメリットもあります。
1つは、その後方視界です。
わくわくゲートは、バックドアに横に開く機構を設けたため、バックウインドウが分割されていて、少し後方視界の妨げになります。
ディーラーオプションで、アドバンスドルームミラー(6万4900円)を取り付けることができるので、気になる方は、アドバンスドルームミラーを設定した方がいいかもしれません。
2つ目のデメリットは、その重さです。
ステップワゴンは、通常のバックドアに対して、複雑なヒンジ構造を追加したため、バックドア自体の重量が増加しています。
実際に開け閉めした印象は、そこまで重さを感じるものではありませんでしたが、このわくわくゲートを設定するために、動力性能や燃費を多少なりとも犠牲にしているということなので、そこまでしてわくわくゲートが欲しいかというと、少し疑問を感じてしまいますね。
そのせいか、2020年1月9日にステップワゴンの一部改良が行われましたが、その中に、わくわくゲートが無い仕様が用意されました。
本来であれば便利なはずのわくわくゲートですが、やはりデメリットも小さいくないと判断された結果なのでしょうか。
まとめ
トヨタ ヴォクシー、日産セレナに販売で遅れをとっているステップワゴンですが、中身を見てみると、非常に使い勝手が良さそうなミニバンでした。
特に、3列目シートを床下に格納できるのは、室内がスッキリしていいですよね。
是非気になる方は、チェックしてみて下さい。