元自動車開発者だった私が”世界で最も技術力の高い”自動車メーカーはスバルだと思う理由

車の技術
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今日は、私が考える技術力の高いメーカーについてお話ししたいと思います。

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衝突安全性能で各メーカーの技術力がわかる?

私は、衝突安全性能こそが、各メーカーの技術力を表すものだと思っています。

車の性能は色々とありますが、インテリアの品質や先進アイテムなどの、いわゆる魅力性能は、言ってしまえば、車に付ければよいだけ。
技術的な問題は少なく、車の原価が上がってしまうという問題はありますが、それはビジネスの話です。

しかし、衝突安全性能は、車の性能の中で唯一人命に関わる性能だけに、車の原価とかそういうものと比べることができません。
つまりは、原価が上がってしまうからやらないという選択肢はなく、やるしかないのです。

その一方で、年々厳しくなる各国の法規や、デザイン自由度の確保、燃費向上のための軽量化などを考慮して、衝突安全性能は常に進化していく必要があります。
そのため、自動車メーカー各社はコストや質量をかけることなく、デザインを犠牲にせずに、衝突安全性能をどう向上させるか凌ぎを削っているのです。

唯一”点数”として測れる性能

世界には、衝突安全性能を評価して、その結果を公表している機関がいくつかあります。
そこでは、様々な車種が同じ衝突実験をして、その結果を横並びで公開されるのです。

衝突実験は、ダミーと呼ばれる人型のセンサーを乗せて衝突実験を行なうことで、「傷害値」と呼ばれるダミーが受ける衝撃を数値化した値で評価されます。
そのため、「傷害値」という客観的な数値として、車種ごとの差が見えてしまうのです。
つまり、この衝突実験の結果を見れば、本当に技術力があるメーカーがどこなのかわかってしまうのです。

傷害値だけでなく、衝突試験をした後の車の様子も公開されているので、「あのメーカーはこんなシステムを入れてきたのか」とか、「この車はうまく工夫しているな」といったことがわかります。

IIHSによって公開された衝突実験後のFORD EDGE

世界の衝突安全試験

世界には、衝突安全性能の評価を行なう機関がいくつかあります。
ここで1度、それらを整理しておきたいと思います。

基本的に各国が、車の販売に対する法規を定めています。

衝突安全に関わるものは、日本だと国土交通相が、ある衝突形態での安全を担保できる車しか販売してはいけないと定めている法規があります。

情報公開試験

JNCAP最高評価を獲得したMAZDA CX-5

一方で、情報公開試験というものがあります。
NCAPという名前を車関係の雑誌や記事で目にしたことがあるという方も多いと思いますが、NCAPは、基本的には、国の機関(日本でいえば、国土交通相の下にある「NASVA」という独立行政法人が、実施している)が実施している安全試験で、その結果はWEBなどで公開されます。
そうすることで、より安全な車を消費者に奨励するとともに、メーカーには、より安全な車作りを促しているのです。

日本のNCAP(JNCAP)について詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。

IIHSは独自の衝突実験を行い、最も安全な車を表彰している。

また、NCAPの他にも、アメリカにはIIHSといういくつかの保険会社からの出資でできた機関があります。
IIHSは、元々保険金を下げる目的で、車の安全性向上を促進するために、設立された機関なのですが、積極的に事故調査などを行ない、独自の安全評価を実施していることでも有名です。
その結果は、アメリカの様々な自動車メディアの安全性を計る指標となっているほど。

衝突試験の導入で死亡事故が減った

世界で初めて衝突の情報公開試験が導入されたのは、1979年のアメリカでした。

それから、車の安全性は改善され、アメリカだけでなく、同様の試験が導入された日本や欧州では、車による死亡・重症事故の数は確実に減っていきました。

こちらの記事を読むと、衝突試験の導入前と後で、車の安全性がいかに進化してきたかがよく分かると思います。

現代の車と50年前の車をぶつけてみた結果が衝撃的すぎる

本当に技術力が高いのはどのメーカー?

では、実際にこれらの衝突試験の結果を見てみましょう。
一体技術力の高いメーカーはどこなのでしょうか?

例えば、こちらはIIHSの評価結果です。
Small Car(日本における中型のセダン・ハッチバック)の評価が良い車を見てみることにします。

ここに挙げた車は全てTSP(Top Safety Pick)と呼ばれるIIHSの衝突安全試験で最高評価を獲得した車です。
結果を見てみると、TSPを獲得しているのは、軒並み日本車です。

その中でも、スバルは全ての評価で最高評価のG(Good)をとっています。
また、最も厳しいと言われるSmall overlap frontと呼ばれる実験で、全ての項目でGをとっているのは、スバルの3車種と、日産セントラ、レクサスCT200hと、新型プリウスだけ。(2016年時点)

実験結果から見えてくるスバルの凄さ

実際にSmall overlap frontの実験結果の写真を見てみましょう。

トヨタ カローラの衝突実験後の写真

こちらは、トヨタ カローラ。

Aピラーとサイドシルが大きく折れ曲がってしまっています。

スバル インプレッサの衝突実験後の写真

次に、こちらがスバルのインプレッサ。

Aピラーは全く折れ曲がらずに、しっかりとキャビン(人が乗るスペース)を守っていることが分かります。
同じ実験をした後とは思えないほどの違いです。

スバルは他社に決してデザインで劣っているわけではありませんし、その他の性能が劣っているわけではありません。
エンジンが水平対向エンジンだというメリットもあるとは思いますが、それでも全ての車で最高評価をとっているところからすると、やはりスバルは技術力の高いメーカーだと認めざるを得ないのではないでしょうか。

まとめ

1. 誰もが力をいれるべき衝突安全性能だからこそ、衝突安全性能の良し悪しを見ればその本当に技術力のある会社がわかる。
2. 世界には、衝突安全性能を評価する機関がいくつかあり、性能が横並びで得点として発表される。
3. スバルは衝突安全試験の結果が軒並み高く、技術力のある会社だと言える。

2020年5月14日 追記

なお、2019年にアメリカのIIHSで評価された車の中で、最高評価のTop Safety Pick +を獲得した車は、スバルがなんと8車種。
トヨタが2車種、ホンダが1車種であることと比べるとその凄さがわかると思います。

参考:スバル エングルウッドHP

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