世界の様々な車を紹介するコーナー。
今日は、スバルの新型レヴォーグを紹介します。
基本情報
レヴォーグは、日本で製造・販売されているステーションワゴンです。
2020年10月15日に発売される新型がレヴォーグとしては2代目ということになります。
この2代目レヴォーグは、第46回東京モーターショー2019にてプロトタイプモデルが世界初公開。
また、東京オートサロン2020にて、2代目プロトタイプの「STI Sport」が初公開されました。
その後、2020年8月20日に先行予約の開始を発表し、専用ティザーサイトを公開しました。
グレード
新型レヴォーグのグレードは、GT、GT EX、GT-H、GT-H EX、STI Sport、STI Sport EXの6グレード展開となっています。
スバルでお馴染みの先進運転支援システム「アイサイト」はGTでも標準装備となっています。
新型レヴォーグではそのアイサイトの仕様自体も新世代モデルへとバージョンアップを遂げており、「EX」がつくグレードは、上位機能となる高度運転支援システム「アイサイトX」搭載モデルとなります。
また、アイサイトX搭載のEXでは、12.3インチフル液晶メーターと11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムが同時に標準装備されます。
プラットフォーム
新型レヴォーグのプラットフォームは、5世代目『インプレッサ』から導入が開始された新世代プラットフォーム「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」を採用しています。
構造用接着剤の範囲を拡大し、ボディ全体の骨格部材を強固し組み立てたのちに外板パネルを溶接する新工法に切り替えることで、現行モデル比でボディ剛性を44%向上させたと言います。
レヴォーグの歴代モデル
初代レヴォーグは、2014年6月20日に発売されました。
もともと、このセグメントには、レガシィツーリングワゴンがありましたが、レガシィのメイン市場である北米市場のニーズにより、レガシィのボディサイズが大型化したため、ボディサイズを日本向けに小さくした日本専用車として登場しました。
ボディサイズは、5代目レガシィツーリングワゴンより全長/ホイールベースともに100mm短縮し、全高を50mm低く設定。
これにより日本の交通環境で取り回しのしやすいボディサイズとなりました。
発売当時は、元々日本専用車でしたが、ステーションワゴンの需要が高い欧州市場にも投入することとなり、2015年3月に開催される第85回ジュネーヴモーターショーにて欧州仕様車を出展。
その後、欧州市場でも発売しています。
スペック
パワートレイン
新型レヴォーグのパワートレインは、新開発の1.8L 4気筒水平対向 ターボエンジンです。
初代レヴォーグには1.6Lと2.0Lの2種類のエンジン設定があったのですが、新型レヴォーグは1.8Lの1種類のみとなるようです。
トランスミッションは、CVT。
駆動方式は、常時全輪駆動のAWDです。
エンジン
新規開発された1.8L 4気筒水平対向ターボエンジンは、「CB18」と名付けられました。
初代レヴォーグのエンジン型式は「FB型」。
この「FB」は「Future Boxer」の意味が込められていたのですが、今回の新エンジン「CB」は「Concentration Boxer(Concentration=集中、濃厚)」の頭文字です。
「CB型」エンジンの開発エンジニアは「FBを開発してから約10年経つのですが、その間にどうしてもやりたかったことが溜まってきていました。とにかくそれを全部つぎ込んでやろう、我々の持てる技術をすべて結集しましたという意味を込めてCBにしました」と語ったと言います。
(出処:Motor-Fan)
FB型からCB型になったことで最も大きな進化は、そのボアピッチの短縮です。
FB型は113.0mmだったボアピッチは、CB型では98.6mmへと、14.4mm短縮されました。
これにより、クランク長もFB型の350.5mmから315.9mmへと34.6mmも短くなりました。
その結果、エンジン全長が約40mm短くなり、約20mm重心が後方へ移動できたようです。
フロントオーバーハング部にエンジンは搭載されているので、エンジン重心が後方へ移動できたということは、ハンドリング性能の改善にも貢献していそうですね。
なお、「CB18」の最大トルクは300Nm、最高出力は130kWです。
初代レヴォーグの1.6Lエンジンの最大トルクが250Nmで、最高出力は125kW。
2.0Lエンジンの最大トルクが400Nm、最高出力が221kWだったので、もしかしたら、前型レヴォーグの2.0Lに乗られていた方が新型レヴォーグに乗ると、そのパワーに物足りなさを感じるかもしれませんね。
ただ、前型レヴォーグの1.6Lエンジンと比較すると、0-30km/h加速が2.2秒と12%の向上を果たしています。
いわゆる常用域での使い勝手を改善させているので、前型の1.6Lに乗られていた方には、そのスペックアップが十分に感じられるはずです。
車両サイズ
新型レヴォーグの車両サイズは、全長:4,755mm、全幅:1,795mm、全高:1,500mm、ホイールベース:2,670mmです。
初代レヴォーグの車両サイズは、全長:4,690mm、全幅:1,780mm、全高:1,485mm、ホイールベース:2,860mmなので、全長は65mm長く、全幅は15mmワイドになりました。
最低地上高は、145mm。
車両重量は、1,550〜1,580kgです。
シャシー
スバル レヴォーグのサスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式。
リアはダブルウィッシュボーン式です。
最小回転半径は、5.5m。
タイヤサイズは、215/50R17と225/45R18があり、グレードによって異なります。
タイヤサイズは、初代レヴォーグと同じですね。
燃費
新型レヴォーグの燃費は、WLTCモードで13.6〜13.7km/L。
JC08モードで16.5〜16.6km/Lです。
初代レヴォーグの燃費はJC08モードで、1.6Lエンジンが16.0km/L、2.0Lエンジンが13.2km/Lだったので、初代の1.6Lエンジンと比べても燃費が良くなっていますね。
価格
新型レヴォーグの価格は、ノーマル車が3,102,000〜3,707,000円。
STIが、3,707,000〜4,092,000円です。
初代レヴォーグの価格は、ノーマル車が2,915,000〜3,685,000円で、STIが3,630,000〜4,125,000円だったので、5〜20万円ほど価格が上がっているようですね。
カラーバリエーション
ボディカラーは、全部で8種類。
・クリスタルホワイトパール
・アイスシルバー・メタリック
・マグネタイトグレー・メタリック
・クリスタルブラック・シリカ
・クールグレーカーキ
・ラピスブルー・パール
・ピュアレッド
・WRブルー・パール (STI Sport、STI Sport EXに設定)
ボディカラーは、前型レヴォーグと全く同じバリエーションですね。
インテリアカラーは、全部で3種類。
特に、STIのみに設定されるカラーは、上品なボルドーとシックなブラックを組み合わせた本革シートに、仕立ての良さとこだわりを感じさせるレッド ステッチをあしらっています。
また各所に配したダークキャストメタリック加飾が煌めき、空間に さりげないアクセントを加えています。
特徴
続いて、新型レヴォーグの特徴を順番に見ていきましょう。
新世代のアイサイトX
運転支援システム「アイサイト」が進化を遂げ、「アイサイトX」となりました。
この「アイサイトX」は、広角化した新開発のステレオカメラに加えて、前後4つのレーダーを組み合わせることで360度センシングを実現。
これに加えてソフトウェアの性能向上や、電動ブレーキブースターの採用などにより、これまで以上に幅広いシーンで運転サポートができるようになりました。
ハンズオフ走行
例えば、ハンズオフ走行。
アイサイトXでは、準天頂衛星「みちびき」やGPSがクルマの位置を正確にとらえ、さらに3D高精度地図データがその先の道路を把握します。
そのため、初めてで知らない道でもカーブ前や料金所前で減速したり、カーブなどでも精度よく前車を追従することができます。
さらに渋滞時のハンズオフ走行が可能で、発進もアシストしてくれるので、渋滞のストレスが飛躍的に軽減されます。
ドライバー異常時対応システム
ドライバーが突然意識を失くすなど、ハンドル制御が困難になったときには、ドライバーの状態を検知して、周囲に注意を促しながら停車をアシストすることができます。
これなら万一の時も安心です。
前側方プリクラッシュブレーキ
広角化したステレオカメラによって、360度のセンシングが可能になったことで、ドライバーから視角となる車に対してもブレーキサポートをしてくれます。
例えば、見通しの悪い交差点。
側方から近づく車がいる場合は、音で警告してくれます。
さらに、危険時の場合は、ブレーキまでサポートしてくれるようです。
緊急時プリクラッシュステアリング
さらに、ブレーキ制御だけでは、衝突回避が困難な場合には、衝突を回避するようにステアリング制御まで行ってくれます。
当然、360度センシングにより、周囲の状況を見ながらステアリングを操作してくれるので安心です。
なお、アイサイトXは、GT、GT-H、STI Sportに標準装備となっています。
自在なモード設定
STI仕様には、ZF製電子制御ダンパーが標準装備されています。
これによって、ドライブモードの変更で様々な走りや乗り心地を体感できます。
モードは、快適性重視の「Comfort(コンフォート)」から「Normal(ノーマル)」、「Sport(スポーツ)」、そしてスポーツ走行向きの「Sport+(スポーツプラス)」までの4モード。
Comfort(コンフォート)
滑らかで扱いやすい出力特性と、高級車のようなしなやかな乗り心地を提供する、快適性を重視したモード。
Normal(ノーマル)
走りの愉しさと快適な乗り心地を最適にバランスさせた、標準モード。
Sport(スポーツ)
アクセル操作に忠実なスポーティな出力特性としながらも、乗り心地も重視したモード。
Sport+(スポーツプラス)
アクセル操作に対するダイレクトな反応や、ロールを抑えた旋回性能、手応えのあるステアリングフィールなど、スポーツカーのような走りが愉しめるモード。
それぞれのモードに対して、パワーユニットや電動パワーステアリング、電子制御ダンパー、エアコン、AWD、アイサイトをユニットごとに最適化しています。
また、「Individual(インディビジュアル)」モードでは、各デバイスの設定を、自由にカスタマイズできます。
ドライバーモニタリングシステムと連携し、5名分まで登録可能で、クルマに乗り込むと自動的にユーザーを認識し、スイッチひとつでカスタマイズした設定を呼び出すことができます。
さらに、それぞれ、走りに対してだけでなく、快適性能に対してもキャラクターを変えるようなモード設定をすることも可能です。
例えば、足元は暖かく顔周りを涼しくしてくれるエアコンマイルドモード。
スポーツ+にはアクセルオフ時でもリアの駆動力を保つことで旋回性を高めるAWD Sportモードなど、様々なモードを作り出すことができます。
ディスプレイと液晶メーター
新型レヴォーグに乗り込んで、真っ先に目が行くのが、インパネ中央に位置する11.6インチの縦長の大型インフォメーションディスプレイです。
実はこのインフォメーションディスプレイは、すでに北米で先行して発売されている「レガシィ」に搭載されているものと同じ。
このディスプレイの特徴は、大きくてナビ画面が見易いというのに加えて、エアコンの操作や車両の設定など、全ての機能を集約しているところです。
各操作は、直感的に行えるような工夫がなされているといいます。
また、ディスプレイに並ぶアイコンはスマートフォンよりはるかに大きく、色分けもしてあって操作しやすいものなっています。
これもスマホのように扱えることを目指したといいます。
さらに、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応しているため、スマホを接続して、このディスプレイを通してアプリを利用することもできます。
メーターはアイサイトX装備仕様では、12.3インチのフル液晶メーターとなります。
これは、北米のレガシィにも装備されていない、スバル車初搭載のもの。
アナログメーターを表示するノーマルモードと、中央に自車や他車の状況を表示するアイサイトモード、ナビの地図を大きく映し出すマップモードの3つを切り替えできます。
大容量の荷室
走りやインフォメーションディスプレイと同じくらい、新型レヴォーグはカーゴルーム(荷室)にもこだわりを注いでいます。
VDA法で561L(カーゴフロアボード上部:492L、サブトランク:69L)という大容量を確保するとともに、ひと目で使いやすさが感じられる広い開口部を実現。
さらにリヤシートは3分割で倒すことができ、4名乗車時でもスキー板など長い荷物の積載が可能となっています。
また、フロアボード下に備えたサブトランクも新設計し、VDA法で69Lという大容量を実現しています。
加えて、サブトランク底面からルーフまで最大1105mmの高さがあるため、背の高い荷物を積載することもできます。
また、買い物袋などを吊り下げておくのに便利なフックが4ヶ所設定されており、細部にわたって使いやすさが追求されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
伝統のレガシィブランドからその役割を引き継ぐようにして日本専用として発売され、一躍ヒット商品となったレヴォーグでしたが、2代目となる新型レヴォーグは、初代の良いところを残したまま、多くの部分を大きく進化させてきました。
さらに、アイサイトXやフル液晶メーターなど、スバル初の技術を多く搭載してきていて、レヴォーグに対するスバルの気合いを感じさせます。
価格も初代レヴォーグからほぼ据え置きで、これだけのシステムが進化しているのですから、なかなかお得感があるのではないでしょうか。
気になる方は是非詳しくチェックしてみて下さい。