日産の新型ローグ(Rogue)が北米でついに発売されました。
ローグ(Rogue)というとあまり聞き慣れない名前だと思いますが、実はこの車は日本の「エクストレイル」のことなんです。
つまり、この新型ローグが今後日本でも発売される新型エクストレイルということになります。
エクストレイルと言えば、日産が日本で販売している中型SUVです。
2019年にトヨタRAV4が登場するまでは、このクラスで最も売れている車でした。
そんな、エクストレイルの新型が日本に先駆けて北米で発売されたのです。
そこで今回は、北米の新型ローグ(Rogue)とエクストレイルを比較することで、新型エクストレイルは何がどのように変わるのかを徹底分析してみたいと思います。
エクステリアデザイン
まずは、前から見た時のデザインを比較してみましょう。
左に今のエクストレイル、そして右側に新型ローグ(Rogue)を並べてみました。
Vモーショングリルや、下側の大きなラジエーターグリルの形は、今のエクストレイルのデザインを引き継いでいるように見えます。
ただ、Vモーショングリルは、かなり大きくなり、存在感を増していますね。
また、新型ローグ(Rogue)のデザインで最も特徴的なのが、ヘッドランプです。
セレナやエルグランドのように、上下に二分割されたそのヘッドランプは、より個性的でユニークな印象を与えています。
メインのヘッドランプは下側で、4灯のLEDが設定されています。
上側は、シグネチャーランプとターンランプとなっているようです。
また、こうして見ると、新型ローグ(Rogue)の方が今のエクストレイルよりも少しワイドになったように見えますが、実際のサイズはどうなっているのでしょうか。
今のエクストレイルの全幅は1820mmなのですが、それに対して、新型ローグ(Rogue)は1839mmで実に19mmも幅が広がっています。
19mmというと、1円玉の直径くらいなので、結構印象は変わりますね。
続いて、全高ですが、全高は今のエクストレイルが1740mmに対して、新型ローグ(Rogue)は1689mmで51mmも全高は低くなっています。
51mmというと、大体クレジットカードやキャッシュカードの高さと同じくらいなので、こちらもかなり大きな違いだと思います。
この変更によって、前から見たシルエットはだいぶワイドアンドローな印象となりましたね。
次に、横から見たシルエットを比較してみましょう。
全体的なシルエットは大きく変わらないように見えます。
特に後ろ側のルーフからバックドアにかかるラインは、ほとんど差が無いですね。
ただ、一方で前側は、今のエクストレイルに対してボンネットフードの形状が前方までまっすぐ伸びていて、前面がフラットになっています。
さらに、フェンダーアーチの形状が、完全に丸い形状から、少し四角い形状となりました。
これらの変更によって、新型ローグ(Rogue)は、今のエクストレイルよりもよりオフロードをイメージさせるタフなものになった気がします。
また、全長は、今のエクストレイルが4690mmなのに対して、新型ローグ(Rogue)は4648mmで、42mm短くなりました。
これは大体1円玉2枚分の長さになるので、全長でいうとわずかな差と言えるのかもしれません。
続いて、後ろから見た時のデザインの比較です。
新型ローグ(Rogue)はボディの下側が張り出ていて、メリハリのあるシルエットになっていますね。
なんとなく、ドシっと力強い印象となりました。
また、ルーフの形状は、今のエクストレイルは丸みを帯びたシンプルな形をしていたのですが、新型ローグ(Rogue)はフラットで、中央部分が少し窪んだ形状となりました。
いかがでしたでしょうか。
こうして、エクステリアデザインを比較してみると、全体的に、新型ローグ(Rogue)はオフロード的な印象を強調したデザインになったように見えました。
ただ、実際に発売された北米では、このデザインについて賛否両論あるようです。
特にフロントのヘッドランプデザインは好き嫌いが分かれそうですね。
インテリア
続いて、インテリアを比較してみましょう。
こちらには、左側に今のエクストレイルの写真、右側に新型ローグ(Rogue)の写真を並べてみました。
こう見ると、インテリアは随分と変わりましたね。
充実したディスプレイ類
まず、ナビディスプレイです。
今のエクストレイルは、ナビディスプレイがインストルメントパネルの中央部に位置されていたので、運転中にディスプレイを見るときの視線の動きがやや大きくなりがちだったのですが、新型ローグ(Rogue)は、インストルメントパネル真ん中の上側に配置されました。
これは、マツダCX-5とほぼ同じ位置ですが、運転中の視線の動きが少なく済みそうです。
また、ディスプレイサイズも、今のエクストレイルは7インチだったのに対して、新型ローグ(Rogue)は9インチとかなり大きくなりました。
次に特徴的なのが、メーターです。
今のエクストレイルは、メーターの中央にディスプレイがあるものの、メーター自体はアナログメーターです。
それに対して、新型ローグ(Rogue)は、12.3インチの液晶デジタルメーターディスプレイへと進化しました。
さらに、今のエクストレイルには無いヘッドアップディスプレイも新たに採用されました。
このヘッドアップディスプレイは、フルカラーの10.8インチ。
ナビ情報を示してくれたり、現在の速度などが表示されるようです。
ディスプレイ類はてんこ盛りといった感じですね。
その他アクセサリ
Bluetoothは標準設定となっていて、「Apple CarPlay」や「Android Auto」に対応しています。
また、インストルメントパネル中央に、スマートフォンを置くだけで充電ができるワイヤレス充電を装備。
当然、有線での充電も可能で、シガーソケットの横には、2つのタイプの違うUSBソケットが用意されています。
コンソール
次にコンソールを見てみましょう。
コンソールはブラックの木目調デザイン。
そこに、小さくシンプルな形となったシフトノブ、電制パーキングブレーキスイッチやドライブモードスイッチが並びます。
また、ドリンクホルダーは、今のエクストレイルは横に2つ並んでいたのに対して、新型ローグ(Rogue)は縦に2つ並ぶデザインとなりました。
さらに、新型ローグ(Rogue)のコンソールは、最近流行りのフローティングデザインとなっており、シフトノブなどが取り付いているところの下側も物置きスペースとして活用できるようになっています。
エアコン
エアコンは、運転席、助手席、後席の3つのゾーンでそれぞれ温度設定が可能となっています。
さらに、後席にもシートヒーターが設定されています。
至れり尽くせりですね。
荷室
続いて、荷室を比較してみましょう。
荷室は、左右のでっぱりが減って、広くなったように見えますね。
また、今のエクストレイルと同じように、新型ローグ(Rogue)も上側のボードが2枚に分割されていて、この上側のボードを取り外して使うこともできますし、1つを立てて、ディバイダーとして使うこともできます。
こうやってディバイダーとして使えば、汚したくない物や、潰したくない物などを分けて置くことができるので便利ですね。
サイズ
では、ここからは、実際の寸法を比較してみましょう。
比較対象として、エクストレイルと同じクラスのトヨタRAV4、ホンダCR-V、マツダCX-5も並べています。
全長×全幅
まずは、全長と全幅からです。
こちらには、横軸に全長、縦軸に全幅をとったグラフを示しました。
これを見ると、今のエクストレイルは、RAV4やCR-Vに対して、全長は長く、幅は狭いという状況だったのですが、新型ローグ(Rogue)は、全長は依然この中では最も長いものの、全幅はCX-5に並びました。
全長×全高
続いて、こちらには、横軸に全長、縦軸に全高をとったグラフを示しました。
今のエクストレイルは、RAV4やCR-V、CX-5に対して、50〜60mmほど全高が高かったのですが、新型ローグ(Rogue)は、RAV4やCR-Vにはまだ届かないものの、CX-5よりも低くなりました。
こうして見てみると、最近は、SUVと言えどもその中でローアンドワイドなデザイントレンドとなっていたのですが、エクストレイルもしっかりとその波に乗ってきたようです。
室内広さ
次に室内広さを比較してみましょう。
なお、各寸法はアメリカの自動車専門メディアMotor Trendの調査結果を参考にしています。
座席空間高さ
では、まずは前席空間の高さと後席空間の高さをそれぞれ比較してみましょう。
こちらには、青い棒で前席空間の高さ、緑の棒で後席空間の高さをとったグラフを示しました。
これを見ると、今のエクストレイルは、前席空間の高さがRAV4やCR-Vに対して、かなり大きくとれていました。
新型ローグ(Rogue)は、全高が低くなってしまった分、前席空間の高さも少し減ってしまいましたが、それでも、RAV4やCR-Vに対して見ると、十分に広くなっています。
一方で、後席空間高さを比較して見ると、今のエクストレイルは、他の車と比べると、10〜20mmほど小さくなっていました。
ただ、新型ローグ(Rogue)は20mmほど改善し、CR-Vと同じくらいの広さとなっています。
レッグルーム
次に、足元のスペース「レッグルーム」です。
こちらには、前席のレッグルームを青色の棒で、後席のレッグルームを緑色の棒で示しました。
新型ローグ(Rogue)の前席のレッグルームは、40mmほど今のエクストレイルに対して減ってしまいましたが、それでも同じクラスのSUVと比較すると最も足元が広いようです。
一方で、後席のレッグルームは、今までCR-VやCX-5と比べると大きく差をつけられていたのですが、新型ローグ(Rogue)は、まだCR-VやCX-5には届かないものの、15mmほど改善しました。
ショルダールーム
最後に、横方向の広さ「ショルダールーム」を比べてみましょう。
これまでと同様に、前席のショルダールームを青色の棒で、後席のショルダールームを緑色の棒で示しました。
このグラフを見ると、新型ローグ(Rogue)の前席のショルダールームは、今のエクストレイルに対して12mm改善し、CX-5と同じレベルとなりました。
全幅が拡大された分、室内の広さも改善しているようです。
一方、新型ローグ(Rogue)の後席のショルダールームは、今のエクストレイルと変わっておらず、同じ寸法となっています。
エンジン
本来であればエンジンの比較もしたいところですが、日本仕様のエクストレイルと北米仕様のローグでは、元々搭載されているエンジンが違うので、直接比較ができません。
日本のエクストレイルは、2.0L直列4気筒エンジンを搭載していますが、北米仕様は2.5L直列4気筒エンジンを搭載しています。
新型ローグも、前型モデルと同じ2.5Lエンジンを搭載してきました。
このことを考えると、日本で発売される新型エクストレイルには、今のエクストレイルと同じ2.0Lエンジンが搭載されるのではないかと予想されます。
また、日本ではe-POWER仕様も発売されるのではないかという噂もあるようです。
先進システム
続いて、搭載される先進システムを見てみましょう。
こちらには、今のエクストレイルと新型ローグそれぞれに搭載されている先進システムの一覧を示しました。
○がついているシステムが搭載されているシステムです。
これを見ると、今のエクストレイルに対して、新型ローグは、バックで下がった時に障害物を検知して自動ブレーキをかけてくれる「リア自動ブレーキ」が追加されました。
さらに、スカイラインなどにも搭載されている、手を離しての自動運転が可能な「プロパイロット2.0」が最上位グレードで標準設定となっています。
ビークル・モーション・コントロール
また、今のエクストレイルに無かったシステムとして、2WD、4WDの全車にビークル・モーション・コントロールが設定されます。
ビークル・モーション・コントロールとは、いわゆるドライブモードのこと。
路面状況や運転シーンに合わせてモードが選択できます。
2WDはスポーツ、ノーマル、エコの3モード。
4WDはオフロード、スノー、スタンダード、エコ、スポーツの5モードがそれぞれ設定されています。
価格
最後に価格を見てみましょう。
こちらには、新型ローグの北米での価格と、それを日本円に換算した時の価格をグレードごとに示しました。
今のエクストレイルの価格が2,231,280円〜2,828,520なので、それと比べると50〜100万円ほど高い価格設定となっていますね。
日本でもこの価格で発売されるかどうかは分かりませんが、最新の装備がふんだんに搭載された新型と言えども、少し高い気がしてしまいますね。
まとめ
最後に、まとめたいと思います。
今回は、北米で2020年10月に発売された日産の新型ローグ(Rogue)を今のエクストレイルと比較してみました。
荷室や、室内空間の広さに大きな差は無かったものの、エクステリアデザインは大きく変わり、よりオフロード感が強い印象となりました。
また、ヘッドアップディスプレイや、液晶デジタルメーターディスプレイ、ドライブモードなど、今のエクストレイルには無い新たなシステムがふんだんに搭載され、大きな進化を感じます。
ただ、その分、価格が少し今よりも上がってしまうのではないかと予想されます。
これらの進化がその価値に見合っているのかどうか。
皆さんはどう感じられたでしょうか。