皆さんは車のヘッドレストがどうしてあるのかご存知ですか?
「なんか座ると、頭に当たってうっとうしいなぁ」
「後方を見る時に邪魔だなぁ」
なんて思っている人も多いのではないでしょうか。
中には、ヘッドレストを外してしまう人もいるようです。
しかし、実はヘッドレストにはとても重要な役割があるのです。
意外とそのことを知らない人が多いので、今日はヘッドレストの重要性についてまとめておきたいと思います。
ちなみに、ヘッドレストを外して運転することは一応法律違反となってしまうので、気をつけてください。(実際取り締まりはされていないようです。)
ヘッドレストの性能実験
まず、こちらの動画をご覧下さい。
これは独立行政法人 自動車事故対策機構が行なっている実験映像で、自車が後ろから追突されたシーンを模擬しています。
どうして自動車事故対策機構はこのような実験をしているのでしょうか。
実はこの実験、ヘッドレストの性能を確認するために行なわれています。
このような実験をして性能を確認されるくらいヘッドレストは重要なものなのです。
交通事故で最も多いのは追突事故
さて、ヘッドレストが担う重要な役割をご説明する前に、発生件数の多い交通事故形態について見てみましょう。
みなさんは交通事故で最も多い形態は何だと思いますか?
見晴らしの悪い交差点での出会い頭事故
左折時に二輪車を見落とし巻き込み
右折時に直進車と接触
などなど、道路上には様々な危険があることはみなさんもよくご存知だと思います。
そんな中、実は圧倒的に発生件数が多い事故形態があるのです。
それは、追突事故です。
例えば2013年の1年間に起こった交通事故件数が、665,138件なのに対して、追突事故は全体の3割以上の231,677件にもなります。
(参考:警視庁交通局資料)
原因は様々ですが、多くは、脇見運転や居眠り運転だそうです。
追突される側からしたら、防ぎようの無い事故だけに、いつ私たちが追突事故の被害者になるかわかりません。
交通事故でなりやすいむち打ち症とは?
そんな追突事故で、最もなりやすい怪我がむち打ち症です。
では、むち打ち症と一体どのような怪我なのでしょうか。
むち打ち症とは、頭部が鞭の動きのように前後に過度の屈伸をし、首の組織に損傷を生じたために起こる症状。
具体的な症状は、頭痛・肩凝り・手足のしびれ・めまい・耳鳴りなど。(大辞泉より)
そもそも、首にはは脳と身体を繋ぐ神経が通っているため、様々な症状を引き起こすそうです。
中には、何年にも渡って悩まされる人もいるといいます。
追突事故でむち打ち症に陥るメカニズムとは
それでは、どうしてむち打ち症になってしまうのでしょうか。
人の頭は意外と重く、だいたい全体重の10%の重さがあると言われています。
なので、体重60kgの人の場合、頭の重さは6kgとなる訳です。
つまり、いつもボーリングの玉を首の上に乗せているようなものなのです。
そう考えてみると、すごくアンバランスですよね。
そんな状態で、もし後ろから追突されたらどうなるでしょうか。
まるでだるま落としのように、体だけ前へ押し出されますが、頭はその場に残ろうとします。
それによって、頭と体を繋いでいる首に大きな負担がかかってしまい、首の組織が傷ついてしまいます。
これが追突事故で多くの人がむち打ち症になってしまうメカニズムなのです。
ヘッドレストは安全装置!?
さて、最初の話題に戻ります。
ヘッドレストが担う役割は何なのか。
もうおわかりの方も多いと思いますが、それは、追突された時にむち打ち症を防ぐことです。
最初にご紹介した、独立行政法人 自動車事故対策機構の試験映像をもう一度見てみましょう。
乗員の体が追突によって前へ押し出されますが、ヘッドレストが頭の後ろにあることによって、首が後ろへ折れ曲がるのを防いでくれています。
このことからもわかるように、ヘッドレストは追突された時に首の傷害を低減してくれる、重要な安全装置なのです。
例え、うっとうしくても、後ろが見にくくても、ヘッドレストは外してはいけません。
もし、自分の車からヘッドレストを外してしまったという方がいましたら、是非付け直して下さい。
いつ凶器と化した車が背後に突っ込んでくるか分からないのですから。