世界の様々な車を紹介するコーナー。
今日は、BMW 1シリーズを紹介します。
基本情報
BMW 1シリーズは、ドイツの自動車メーカー「BMW」が製造・販売しているコンパクトハッチバック車です。
BMWのカーラインナップの中では最もコンパクトな車で、エントリーモデルとして定義されています。
現在のモデルがBMW 1シリーズとしては3代目です。
初代BMW 1シリーズは、2004年より製造・販売されました。
当時は、コンパクトセグメントでは珍しく駆動方式はFR。
「M Sport」では、直列6気筒エンジンを搭載するなど、走行性能を追求したコンパクトカーとして人気を博しました。
また、クーペやカブリオレなど様々な仕様が用意されていたことも特徴です。
2代目は、2011年より製造・販売されました。
初代には無かったディーゼルエンジン仕様と3ドアモデルが追加されましたが、一方で、2シリーズにクーペとカブリオレが設定されたことで、1シリーズとしてはクーペとカブリオレは廃止されています。
3代目となる現行モデルは、2019年5月にドイツ ミュンヘンで開催された「BMW Group #NEXTGen presentation platform」でワールドプレミアとなりました。
日本では2019年8月に発売されています。
この3代目は、1シリーズとしては初めてFFを採用。
プラットフォームには、MINIや2シリーズアクティブツアラー/グランツアラー等で採用している「UKL」に改良を加えた新開発の「FAAR」を採用しました。
ラインナップは、「118i」「118iプレイ」「118i Mスポーツ」「M135i xDrive」の4種類です。
スペック
パワートレイン
BMW 1シリーズのパワートレインは、1.5Lガソリンエンジン(118i)と、2.0Lガソリンエンジン(M135i xDrive)です。
駆動方式は「118i」が2WD、「M135i xDrive」が4WDとなっています。
1.5Lガソリンエンジン
「118i」の1.5Lガソリンエンジンは、直列3気筒DOHCエンジンです。
エンジン型式はB38A15A。
最大トルクは220Nm、最高出力は103kWです。
また、このエンジンに組み合わされるトランスミッションは、電子油圧制御式7速DCTです。
2.0Lガソリンエンジン
「M135i xDrive」の2.0Lガソリンエンジンは、直列4気筒DOHCエンジンです。
エンジン型式はB48A20E。
最大トルクは450Nm、最高出力は225kWです。
また、このエンジンに組み合わされるトランスミッションは、電子油圧制御式8速ATです。
車両サイズ
BMW 1シリーズの車両サイズは、全長:4,355mm、全幅:1,800mm、全高:1,465mm、ホイールベース:2670mm。
いわゆるBセグメントと呼ばれるサイズです。
Audi A1(アウディ エーワン)の車両サイズが、全長:4,040mm(S-Lineは4,045mm)、全幅:1,740mm、全高:1,435mm、ホイールベース:2560mmなので、1シリーズはA1よりもひと回り大きなサイズ感です。
また、前型モデルの車両サイズが、全長:4,335mm、全幅:1,765mm、全高:1,425mm、ホイールベース:2,690mmなので、前型モデルに比べて前長は20mm長く、ホイールベースは逆に20mm短くなっています。
ただ、FRからFFとなったことで、フットスペースはフロントシートで約25mm、リヤシートで約40mmも広がっているようです。
車両重量は、1,390〜1580kg。
最小回転半径は、5.4m。
最低地上高は、155mmです。
サスペンション
BMW 1シリーズのサスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラット式で、リアはマルチリンク式です。
燃費
BMW 1シリーズの燃費は、1.5Lエンジン仕様だとJC08モードで16.8km/L、WLTCモードで13.7km/Lです。
2.0Lエンジン仕様だとJC08モードで13.6km/L、WLTCモードで12.0km/Lです。
競合のAudi A1(アウディ エーワン)がJC08モードで17.3km/Lなので、カタログ上の燃費はAudi A1(アウディ エーワン)より少し悪いようですね。
価格
BMW 1シリーズの価格は、1.5Lガソリンエンジン仕様(118i、118iプレイ、118i Mスポーツ)が3,340,000円〜4,130,000円。
2.0Lガソリンエンジン仕様(M135i xDrive)が5,727,273円〜6,300,000円です。
Audi A1(アウディ エーワン)の価格が3,650,000円〜3,910,000円なので、同じ1.5Lガソリンエンジン仕様で比較をすると、価格はほとんど同じですね。
特徴
BMW 1シリーズの特徴をいくつか順番に見ていきましょう。
FF化によって広がった室内
上でもご説明したように、新型1シリーズは、前型モデルまで踏襲されていたFRからFFへと大きく変更されています。
従来のFRの場合、エンジンを縦置きにして、プロペラシャフトを車両の真ん中に通さなければならないので、1シリーズのような小型車を作ろうとすると、どうしても室内広さが犠牲になってしまいます。
ただ、現行モデルでは、FFが採用されたため、目に見える形で室内広さが改善されています。
こちらが前型モデルの後席周り。
見るからに狭いですね。
実際に私も乗ったことがあるのですが、後席は大人が長時間座るには少し苦しく感じるほどの狭さです。
ただ、FFとなった現行モデルは、前型モデルから、後席の足元スペースが40mm改善しました。
その違いは写真でも分かるのではないでしょうか。
また、ラゲッジルームの容量は、前型モデルが360Lだったのに対して、新型モデルでは380Lへと20L拡大しました。
実際に日常使う中で、この20Lの差は大きいと思います。
BMWらしい走り
車好きの方は、FF化によって室内が広くなったのはいいけれども、その分BMWの特徴である走りの良さが失われているのではないかと心配される方もいるかと思います。
ただ、いくつかの試乗記を読んでも、どうやらその心配は必要なさそうです。
新型1シリーズには、日本に導入されるBMW車としては初めて、タイヤスリップコントロールシステムのARB(アクチュエーター・コンティギュアス・ホイールスリップ・リミテーション)が搭載されました。
このシステムは、エンジンコントロールユニットで直接スリップを感知し、DSC(ダイナミック・スタビリティー・コントロール)を経由することなく、従来の約3倍の速さで信号を直接エンジンに伝達する機能です。
これによって、FF車特有のアンダーステアを大幅に抑制し、俊敏な走りを実現しています。
実際、MotorFan編集部の小泉建治氏は、試乗記で次のように語っています。
「試しにタイトターンで無遠慮にアクセルを踏みつけてみたが、ダダダダッとフロントタイヤが暴れることなく、まるで後輪駆動車のようにスーッとノーズをインに向けていく。
だからアクセルを踏むことを我慢する必要がない。
これでリヤがグイグイとアウトに押し出されるように向きを変えてくれたら完全に後輪駆動車である。
もちろんそんなことにはならないが……。何をもって楽しいと感じるかは人それぞれ、そして状況次第だが、少なくとも筆者はこの瞬間、素直に楽しいと感じた。
そしてこのクルマで運転し続けたいと思った。」
さすがはBMWです。
ただではFF化はしませんね。
走りへのこだわりをしっかりと体現した車になっているようです。
先進装備
新型1シリーズには、ちょっと面白い先進装備がついています。
1つが、「BMWインテリジェント・パーソナル・ アシスタント」。
これは、今流行りの「AI音声会話システム」です。
「BMW」と呼びかけると、ナビゲーションやエアコンなどを音声でコントロールできます。
面白いのが、こちらの記事によると、「眠い」とぼやくと、「活性化プログラムを有効にしました」と返答され、ガーッとガラスルーフのサンシェードが開き、アップテンポな曲が流れ始め、さらに、「ザザー、ザザー」と、そよ風のような、穏やかな波のような、心地よい音が聞こえてきたといいます。
すごいですよね(笑)
こんなことをされると、車がまるでペットのような感覚になってしまいそうです。
また、「リバース・アシスト」というユニークなシステムも搭載されています。
このシステムは、直近に前進した50mの軌跡を記憶し(35km/h以下の場合)、その軌跡通りに後退する際に、ステアリング操作を自動で行う機能のようです。
正直言って、どんな時にそんなシステムを使う必要があるのか想像できませんが、他にはないユニークなシステムで面白いですね。
まとめ
FRからFFへと大きな変化を遂げた1シリーズですが、室内空間は広がった上に、ハンドリングなどの走りは従来のまま楽しめる車となっており、文句のつけようがありません。
また、1シリーズは他の車には無いユニークな特徴が多くあるので、他車に対して”選ぶ理由”が明確な気がします。
さすがはBMWですね。
是非気になる方は、チェックしてみて下さい。